ドイツ音楽の影響を受けていた当時の師匠に従っただけの練習曲だとして、再演を拒否していたという金井。でも実は、収録された曲の続き「幻のフィナーレ」が残されていたのです。

そのCD化を提案されたのは本部町出身のピアニスト:高良仁美さん。未発表の楽譜に、ある発見をしました。

ピアニスト 高良仁美さん
「金井先生としては沖縄色を全面に出したいのを、その頃(の師匠は)ドイツのロマン派に傾倒している先生だったのね、それを封印されたんじゃないのかなって想像しているんですけど、だけど先生にばれない程度の、本当にメロディーていうほどじゃないんですけどなんとなく沖縄っぽさを盛り込んじゃったのかなっていう」

楽譜全体を弾くとわかりにくいのですが、その中に沖縄風のメロディーを潜ませていたのです。

ピアニスト 高良仁美さん
「沖縄の柔らかい風というか、青い空青い海、優しい風ですよね、そういうのを、ここには感じたので」

沖縄にこだわり続けた金井。残された音源や生涯からウチナーンチュとしてのしなやかさ、沖縄への思いを感じることができます。


金井喜久子プロジェクト 宮城さつきさん
「強い人ではあるんだけど、挫折しながらそれを乗り越えていっている、その根底には故郷への愛情。沖縄から離れていても、ずっと生涯にわたって沖縄を想い続けたっていうところもウチナーンチュとしての強さに通じるものがあると思いましたし、金井さんが戦後はひめゆりのチャリティーイベントにすごく尽力されていくのもやっぱり気持ちの積み重ねがあったからだと思うんですよね」

稽古の様子
「ひめゆりの話を殉国の美談とすることは許されません、正しく伝えなければならない。その一心でした」

朗読とコンサートで描く「金井喜久子物語」の開催を明後日に控える宮城さん。その人生を通してかけがえのない沖縄の誇りを伝えていきます。