22日、札幌市に新たな児童相談所が開設されました。なくならない虐待に対応するためですが、子どもを支えるシステム自体にも課題が見えてきています。

22日開設された、東部児童相談所。

あいさつで担当者が語ったのは決意でした。

 札幌市子ども未来局 佐藤学局長
「二度と繰り返さないという決意で、私たちは全庁をあげて児童相談体制の強化に取り組んだ」

 「二度と繰り返さない」と話したのが2019年、札幌市で2歳の女の子が虐待を受け、衰弱死した事件です。

札幌市の白石区・厚別区・清田区・豊平区の4つの区を所管する東部児相。

 札幌市の虐待の相談件数は2019年度からの5年間、2400件前後で高止まりしていて、新設により職員の充実など事件の反省に立った対応の強化をはかります。

貴田岡結衣記者
「3階のこの扉の先には、定員36人の一時保護所があります」

 ここは、個室とリビングを備えた家庭的な環境で生活できる「一時保護」スペースです。

 政府はその保護された子どもを「里親」など家庭に近い環境で養育するのが望ましいとしていますが、札幌市では対応が十分ではないといいます。

 麦の子会ベーテルホーム 杉山真由美さん
「8人いるので、ここにみんなで座ってご飯食べるっていう感じですね」

10年前に里親として1人目の子どもを迎え入れた、札幌市の杉山さん夫婦です。

いまは2歳から17歳までの男の子6人を「ファミリーホーム」という形で育てています。

 麦の子会ベーテルホーム 杉山真由美さん
「やっぱり親と離れて暮らすという時期があるので、そういう不安感からどうしても難しくなる。その子が悪いわけではないんですけどね。大変なこともある」

そうしたこともあり、様々な背景がある子どもを受け入れる里親自体がそもそも足りない状況で、支援は里親にも欠かせないといいます。

 むぎのこフォスタリング機関 船木香さん
「相談したりする場所が里親さんにとって必要で、孤独にならないことが大事かな」

子どもたちをどう守り、育てていくのか。

支えるシステム自体が壊れないような取り組みも必要とされています。