今年6月に大阪府堺市で、勤務先のラウンジで飲酒した後に車を運転し、20代女性の自転車に衝突し重傷を負わせたとして、「危険運転致傷」の罪に問われている女(27)の初公判。女側は認否を留保しました。
検察は “アルコールの影響で正常な運転が困難な状態だった” と判断
起訴状や関係者によりますと、堺市中区の木村穂乃香被告(27)は、今年6月7日未明、勤務先のラウンジで酒を飲んだあと、酩酊状態で普通乗用車を運転。
運転開始から約4分後、同区深井水池町の道路を時速約30㎞で進行中に、女性(24)が運転する自転車に追突し転倒させ、さらに前輪付近で轢いて負傷させたとして、「危険運転致傷」の罪に問われています。
女性は、顔面挫創や外傷性歯牙脱臼のほか、左臀部皮膚剥奪創などの重傷を負いました。全身麻酔中に壊死した皮膚の切除手術なども強いられたといいます。
木村被告は通報や女性の救護をすることなく現場を走り去り、その後、過失運転致傷とひき逃げの容疑で大阪府警に逮捕されましたが、大阪地検堺支部は “アルコールの影響で正常な運転が困難な状態だったのに運転に及んだ” と判断。危険運転致傷罪に「格上げ」する形で起訴しました。
一方でひき逃げの罪については、地検堺支部は不起訴としました。
被告側「公訴事実全体に対して認否を留保」争点整理求める

9月17日午後に大阪地裁堺支部で開かれた初公判。罪状認否で木村被告は、「弁護士に任せていますので弁護士と同じ意見です」と述べました。
弁護人は「公訴事実全体に対して認否を留保いたします」と述べ、争点整理を求めました。 このため、初公判は検察側の冒頭陳述を行わない形で終了。第2回公判の期日は決まっていません。
被害女性も裁判に参加「毎日傷と向き合って、事故のことを思い出す」“生き残ったからこそ背負う壮絶な苦しみがある”とも…

初公判には被害者参加制度を利用して、被害を受けた女性(24)本人も車椅子で出廷しました。
閉廷後、女性は報道陣の取材に応じ、事故後の苦しみや心境を語りました。 被害を受けた女性(24)
「飲酒運転がどれだけ被害者を苦しめているかをわかってもらいたいです」
「ずっと毎日傷と向き合って、向き合うたびに事故のことを思い出すので、頑張って前向きにいこうと思うんですけど、悲しさとむなしさがなくならなくて、毎日しんどいです」
「顔の傷と体の傷はもう元に戻らないし、予定していた楽しいイベントとかも失って、目標である留学もこの事故でなくされたので、時間とか私の気持ち、すべてを奪われました」
「(木村被告には)私を轢いたことをちゃんと認めて、実刑を受けてもらいたいです」
被害女性はまた、“通報者の方がいなければ、後続車にさらに轢かれて命を落としていたおそれもあった。その通報者の方には大変感謝している” “生き残っているから大きな事件ではないとは絶対に思わないでほしい。生き残ったからこそ背負う壮絶な苦しみがある” とも話しています。