月の石の成分は地球とよく似ている ということは…?

ーでは、月はどのように形成されたのでしょうか。

(山陽学園大学 米田瑞生さん)
「地球の月はこのどちらとも異なります。月の石の成分は地球とよく似ており、月が地球と共通の材料からできていることを示しています。これは、月が『地球と衝突天体の破片から生まれた片割れ』あるいは『兄弟』と表現できることを意味します。

この出来事は『ジャイアントインパクト』と呼ばれています。火星ほどの大きさをもつ仮想の天体(テイア)が地球に衝突し、その破片が宇宙空間に飛び散り、再び集まって形成されたのが月なのです。【画像②】

【画像②】衛星はどのように生まれたか

月がなければ、現在の地球の姿は大きく違っていたでしょう。月は27日周期で地球を公転しています。

現在、地球の自転は24時間ですが、月の重力によって海水は地球の自転に対して遅れを生じ、その摩擦が地球の回転を徐々に遅らせています。

恐竜が栄えた時代には1日は約22時間、ジャイアントインパクト直後の46億年前には10時間にも満たなかったと考えられます。

1日が10時間しかない世界では、風や海流も激しく、今とは比べものにならない過酷な環境だったでしょう。『1日が短くて目まぐるしい!』だけでは済まされないのです。

こうしてみると、夜空に浮かぶ月は、ただの光る天体ではありません。地球とともに誕生した特別な『片割れ』であり、私たちの時間や気候をも左右してきた存在です。

中秋の名月を見上げるとき、悠久の歴史の中で地球と歩んできた月の物語にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか」