「悔いがあるからこそ、良い指導ができる」

 鈴木さんが求める理想のコーチ像とは…

鈴木雄介さん
「一番大切にしているのは、求められれば求められた分を還元したいというところ。選手が求めたところに導いてあげるのがコーチの仕事だと思っている。自分の良かった時の記憶だけで、学生にこれくらいやらないと世界を取れないぞと、いきなりやっちゃうとパンクするので、やっぱり段階を追って。」

 独りよがりな指導者としての欲を捨て、目標へと向かう学生たちの道標になると決めたコーチ・鈴木雄介。

 「競技生活に悔いはないのか?」改めてそう問いかけると、鈴木さんは穏やかな表情でこう話してくれた。


鈴木雄介さん
「悔いがあるからこそ、その悔いを経験させないように。それをいかに少なくできるか、近道を見せてあげるのが仕事であり役目。私が後悔してきたからこそ、教えられることかなと思う。」

 
 現役時代に感じた自分の弱さも惜しみなくさらけ出すことが、将来の日本競歩界を担う若手の成長につながる。指導者としての新たなゴールを模索しながら、レジェンドはこれからも、その歩みを止めることはない。