24時間営業が始まって半世紀。令和でも人気を集める“24時間営業の繁盛店”。人気の秘密を調べてきました。
■「ここじゃなきゃダメ」完成までに約9時間 24時間の食パン専門店
最初に訪れたのは、東京・江東区の東陽町。
住宅街に人だかりができているのは、創業30年のデニッシュ食パンの専門店「モンシェール 東陽町工場」。
小さなパン工場の入口が直売所になっていて、いつでもできたてのパンが買えるんです。
お客さん
「埼玉県の深谷市からです」
「横浜から来ました」
「わざわざ買いに来ましたよ、千葉から。(パンは)ここじゃなきゃダメです」
それは、バターをふんだんに使い、ふんわり、しっとり食感に仕上げたデニッシュ食パン「プレーン(1200円)」。
ほんのり甘みがあって、何もつけないで、そのまま食べるのがおすすめです。
お客さん
「バターの風味とか、そういうのがもう本当に美味しいんです」
「家族を温かくしてくれるパンです」
「はちみつレモン(1500円)」や「甘夏(1400円)」、「たっぷりこしあん(1400円)」など、期間限定の商品があるのも魅力。
こちらの男性が購入したパンは、なんと25個!
店員
「3万600円ですね」
3万円を超えるお買い上げ!なぜ、こんなに?
お客さん
「お客さんに配る用です。喜ぶっすよね、みんな。ちょっと別格だって、やっぱり言う」
それにしても、なぜ24時間営業なのでしょうか。そのワケは、パン作りにありました。
朝5時半から生地を練り上げ、発酵させること1時間。パン生地を分割していきます。
生地を冷やしたあと、企業秘密の「バター」をたっぷり練り込み…
ここからが重要なポイント!
パン生地を伸ばして折りたたむ。これを何度も繰り返し…。
モンシェール 渡邉大輔さん
「54層というのがうちの売りでして、それで食感と形と非常にいいものに仕上がります」
なんと54層にも重ねた生地を切って三つ編みに。その後、発酵させたものを窯で焼き上げれば…ホッカホッカのパンの焼きあがり!
最後に1時間ほど冷まして完成。
ここまでかかった時間は、なんと9時間。
すぐに売り切れてしまわないようにフル稼働でパンを作ったところ、お客さんからの要望で、24時間販売することになったといいます。
■「誰もいないときに行けたりするのも魅力の一つ」真夜中の来店者
はたして、真夜中でもお客さんがやってくるのでしょうか。
午前0時半。4人組の女性たちが来店。
お客さん
「子供つながりです。ママ友です」
食事会の帰りに、翌日の朝ごはん用に買いに来たといいます。
お客さん
「ずっと24時間やってらっしゃるから。早朝にきて、イベントあるときに買っていったりとか」「朝ごはんゲット」「楽しみ」
午前2時前。初来店という千鳥足の男性2人組が来店。
お客さん
「最初、錦糸町で飲んでいて、光があるほうに来たらこのパン屋さんを見つけた。砂漠の中で水を見つけたみたいな、そういう感覚ですよね」
錦糸町で飲んでいた2人は、約3㎞、約45分歩いて、ここに吸い寄せられたといいます。
お客さん
「匂いにつられてきちゃいました。(真夜中に)誰もいないときに行けたりするのも魅力の一つ」
午前6時。朝を迎えると、みなさんの食卓にはモンシェールのパンが並びます。
お客さん
「おいしい」
「おいしいです」
モンシェール 渡邉大輔さん
「楽しみにして来ていただいているお客様がいる限りは、この形(24時間営業)で続けていきたいと思います」
■ゴルフ場に結婚式場⁉実際にあった24時間営業の店
いまではすっかり少なくなった24時間営業。しかし、1980年代後半は…
深夜にゴルフに来た女性(1987年)
「(Qどうしてこのお時間なんですか?)昼間、仕事を持っているものですから。夜の方が活動しやすいので」
24時間営業のゴルフ練習場に、24時間営業の結婚式場まで!
式場スタッフ(1987年)
「24時間いつでも挙式を承っております。星空の下で、高層ビルの夜景を見ながらのロマンチックな挙式を演出させていただいております」
しかし、バブル時代に全盛期だった24時間営業も、その後、人手不足や働き方改革の影響で激減していったのです。
そんな今でも、24時間営業を続けるお店。続いては、東京・両国にある、創業40年を超える喫茶店「ニューストン」を取材しました。
昼時は、常に大勢のお客さんでにぎわう人気店です。
お客さん
「週3回ぐらい」
「多いときだったら(週に)4回とか」
週に何度も通いたくなる理由は…
お客さん
「思ったよりもでかいかも」
「これ量がえぐいですね!」
大ボリュームが人気の秘密!分厚い豚肉が5枚も乗った一番人気の「ポーク生姜焼き」や、1日3食限定、約300gのビッグサイズ「ナポリタン」。200g超えのジャンボハンバーグステーキも。絶品の味が楽しめます。
お客さん
「ハンバーグがすごくおいしかったです。めちゃくちゃ味が濃いし、大きいし、満足しましたね」
そんな料理を作るのが、この店で働いて約40年の2代目店主・小山秀雄さん(59)。
名物は他にもあります。
お客さん
「7杯?おいしかったです。また来ます」
コーヒーを7杯も飲むお客さんも!さらに、デザートも充実。こちらのご夫婦が注文したのは、プリンアラモード!
お客さん
「僕はもう、ここのプリンがすごく好きなんですよ。第2の家ですかね」
そして、女性客に人気なのがフルーツパフェ。8種類のフルーツをふんだんに使った贅沢な一品なのですが、ここに乗せたのは、なんと造花です。
すき間を見つけては飾りつけ、完成したパフェは、肝心のフルーツが見えないほど造花で彩られています。世界でここでしか食べられない唯一無二のパフェです。
初めて来た女子中学生は、お互いの誕生日を祝おうとお小遣い2000円を握りしめてやってきました。
女子中学生
「いっぱい写真撮って、かわいい写真撮って満足したあと、また幸せな気分で、パフェ大好きなので食べてます」
■「お客さんの力ってすごい」24時間営業を続けるワケ
店主の小山さんが24時間営業を始めたのは1年前。その理由は何だったのでしょうか。
ニューストン店主 小山秀雄さん
「売り上げをもうちょっと欲しいなとか思いながら、あと1時間、あと2時間ってやっているうちに」
小山さんは2年前、先代から借金ごと、お店を引き継ぎました。“40年働いてきたお店を後世に残したい”。その思いから、ほとんど毎日、24時間営業を続けているのです。
午後10時。やってきたのは、仲良し3人家族です。
娘さん(28)
「学生の時は毎日来ていました。ここで宿題やって」
お店に通って10年以上。実は、こちらのお母さんは…
ニューストン店主 小山秀雄さん
「“パフェ可愛くした方がいいよ”って教えてもらった。本当に俺にとっては女神様だから」
パフェを考案し、売り上げに貢献!まさに家族ぐるみのつきあいです。
母
「生活の一部かな。もう(この)喫茶店がなかったら生きていけないです」
終電がなくなった午前2時半。お店にやってきたのは、昼間にプリンアラモードを食べていた男性。2度目の来店です。
男性客
「仕事終わって、家で残りの仕事をして、いまになって小腹すいたので来た」
仕事を終えて夜食に頼んだのは、ピザトーストでした。
午前3時半。全てのお客さんが帰ったあと、小山さんはようやくソファで「ひとやすみ」。お客さんが来ない時に休憩を取っています。
そして、午前5時半。街が明るくなったころ小山さんは仕込みを開始。次のお客さんを迎える準備をしていました。
ニューストン店主 小山秀雄さん
「お客さんがいるから、なおさら頑張れるんですよ。お客さんの力ってすごいんです。心が本当に癒されるというか、たきつけられるというか、頑張らなきゃっていう気になる」
「お客さんに満足してもらいたい」。どんなに時代が移り変わろうとも、店主の思いに変わりはありません。
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