戦後80年にあたって天皇皇后両陛下と愛子さまはきのう(12日)から長崎県を訪問されています。

2日目のきょう(13日)、両陛下と愛子さまは被爆者およそ340人が暮らす養護施設「恵の丘長崎原爆ホーム」を訪問し、腰をかがめて入所者と目線を合わせながら懇談されました。

愛子さまは「普段はどのようにしてお過ごしですか」と施設での暮らしぶりなどを熱心に質問し、入所者が自宅で被爆した体験について話すと、愛子さまは「ご無事でよろしかったですね」などとねぎらいの言葉をかけられました。

その後、愛子さまは両陛下より一足先に帰京され、両陛下は長崎県美術館へ足を運ばれました。

長崎県美術館では「全国障がい者作品展」を鑑賞し作者と和やかに交流されました。

両陛下は一筆書きの要領でハサミを入れて繊細な切り絵作品を作る渡辺義紘さん(35)が、「トリケラトプス」を作る実演も鑑賞されました。

作品が完成し、渡辺さんが「どうぞ持ち帰ってください」と伝えると、両陛下が「いいんですか」「ありがとうございます」などとにこやかに作品を受け取られる場面もありました。

両陛下はあす、「国民文化祭」などの開会式に出席される予定です。

そして先ほど2日目を終えての両陛下の感想が公表されました。

以下全文です。

今日は午前に「恵の丘長崎原爆ホーム」を訪問し、入所者の方々と懇談しました。

このホームは、原爆で大勢の生徒さんを亡くされた純心女子学園のシスター方が、生徒さんたちの慰霊のためにその生徒たちに代わって原爆で傷つかれた方々を迎え幸せな生活を送ることができるよう願って作られ運営されてきた原爆ホームと伺い感銘を受けました。

原爆で大変な想いをされた入所者の方々が、今このホームで穏やかな日々を送っておられることに安堵し、嬉しく思いました。

入所者の方々からは被爆体験やその後の様々な困難またそうしたご苦労を乗り越えてこられたお話も伺いました。

私たちと一緒に愛子も熱心に耳を傾けて入所者の方々のお話を伺っており、皆さんが経験された大変な苦難の一端に触れることを通じて戦争の悲惨さや平和の大切さについて思いを新たにしたものと思います。

また午後は、長崎県美術館を訪問し「第25回全国障害者芸術・文化祭」の「全国障がい者作品展アール・ブリュット展」を鑑賞しました。

出展された作家の方々が描かれた色彩豊かなアクリル画や、精緻な鳥瞰図、独創的な切り絵について、それぞれ集中力を要する制作過程と出来上がった作品の繊細さや美しさが深く心に残りました。

また作家の方々やご家族から作品の特徴や工夫したところなどを伺い、作家の皆さんの作品制作にかける情熱を肌で感じることができました。

「全国障害者芸術・文化祭」をはじめとするさまざまな催しを通じて、障がいのある方々が制作された作品の素晴らしさが、より多くの人々に知られるようになることを願っております。

今日は雨も降る蒸し暑さの中、多くの県民の皆さんに温かく迎えていただいたことに感謝いたします。

あすの国民文化祭事業「みんな集まれ!ダンス&ダンス」や「ながさきピース文化祭2025」開会式を楽しみにしています。