■習近平氏の三期目途中での“降板”も

国内での締め付けなど三期目を迎えても変わらない面が多い習近平氏だが、外交面では路線変更かと思わせる一面を見せた。“微笑み”だ。かつて安倍首相と会った時の習近平氏は無表情だったが、今月日中首脳会議では笑顔で岸田首相と握手。バイデン大統領にも微笑み、オーストラリア、フランス、カナダそれぞれの首脳とも笑顔で相対した。見た目だけではない。
中国と言えば“戦狼外交”と呼ばれる攻撃的外交スタイルが専売特許だったが、外交姿勢も軌道修正したかのようだ。

例えば、王毅外相は米中関係についてこう述べた…。

中国 王毅 外相
「各国は中米関係の先行きに注目し両国関係が健全かつ安定した発展の軌道に戻ることを広く期待している」

これは三期目に入った習近平氏の路線変更があったと考えるべきなのか?

元駐中国大使 宮本雄二氏
「前回の党大会で人事はすべて習近平氏の思い通りにした。それ以外の人たちは”静かに“離れたんです。人事もあなたの言うようにしました。そして習近平思想も入れました。しかし基本的な枠組みは変えてはいけませんよ、と集団指導体制と個人崇拝の禁止を党規約に残しました。そしてやむなく去った人たちは、さあこれから習近平氏の“お手並み拝見”ということなんです。これからちゃんとやるならいいが、そうでなければ我々は一言も二言も言うということで、決してこれから習近平氏は安心な状況ではないんです」

外交スタイルを変えたものこうしたことが背景で、まずは中国の経済を何とかして発展させなければならないことの表れなのだというのである。盤石に見えた三期目。四期目すら見据えているといわれた習近平氏だが、そうとは限らないともいう。

元駐中国大使 宮本雄二氏
「習近平氏はこの先、経済の立て直しを自分の責任でちゃんと進めなければならない。もう一つはアメリカとの関係。これも厳しくなれば、経済とともに安全保障に直結する。そんな中でゼロコロナ政策が最も大きな足かせになっている。試練は今始まったばかりで、四期目はダメだと言うことは十分にあるし、場合によっては(静かに去った人たちから)三期目の途中でも、ちょっと待てということもあり得る…」

現在、中国各地で起きている政権批判のデモ“白紙革命”。共産党内の権力基盤を万全としたように見えた矢先の出来事である。果たしてこの動きを習近平氏はどう捌くのか…早くも“お手並み拝見”のハードルとなるのかもしれない。

(BS-TBS 『報道1930』 11月28日放送より)