アフリカ諸国との交流を目的とした「ホームタウン」認定をめぐり、SNS上で誤った情報が拡散している問題で、認定を受けた愛媛県の今治市役所に「移民反対」などの落書きが相次いで見つかりました。
今治市は、国際協力機構=JICAからモザンビークの「ホームタウン」に認定された後、SNS上で「移民を受け入れる制度だ」という誤った情報が拡散しました。
(電話対応中の職員)
「移民の受け入れを目的としたものではございませんので」
「移民ではございません、そういう政策ではございません」
市役所に抗議の電話やメールが殺到したほか、「グーグルマップ」上で市の施設や市内の飲食店の名前が書き換えられるなど嫌がらせも相次ぎました。
市によりますと、今月2日の午後1時ごろ、市役所の女性用トイレで個室の内側に油性ペンで「移民反対」などと書かれた落書きが2件見つかり清掃業者が消しましたが、およそ2時間後に同じ個室で再び被害が確認されたということです。
さらに、10日午後にも別の女性用トイレで落書きが見つかり、市は警察に被害届を提出しました。
(今治市総務調整課の担当者)
「正しい情報で、ご判断いただきたい」
警察は器物損壊容疑で調べています。
―――
誤った情報がミスリードを誘い、嫌がらせへと発展しています。
経緯から振り返ります。
先月開かれた「アフリカ開発会議」に合わせて、JICA=国際協力機構は今治市など国内4つの自治体をアフリカ各国の「ホームタウン」に認定しました。
その目的は移民の受け入れではなく、産業分野などでの国際交流の強化です。
しかしその後、市役所には全国から苦情や意見が相次ぎ、先月25日から9日までにおよそ1800件の電話とおよそ2400通のメールがあったということです。
市によりますと、そのうち8割ほどを「ホームタウン認定の白紙撤回を求める」内容が占めているということです。
制度の内容が具体的に掴めないということも、誤った情報が拡散する一因かもしれません。
私たちは取材で、今治市に「ホームタウンの認定でどのようなことを予定していますか」と質問しました。
そうすると、「まだ何も決まっておらず、モザンビーク側と協議して決定する」という回答でした。
ただ、モザンビークに自生する「ジャトロファ」という植物のオイルが船の燃料として活用できる可能性があることから、海事産業での交流が大いに期待されています。
モザンビークへの支援を行っている松山市のNPO法人四国グローバルネットワークは内戦後、物不足に陥っていたモザンビークに対し放置自転車を送り銃と交換する活動を続け、2008年には当時の大統領が来県し、感謝を伝えました。
また、県内の学校で国際理解について講演を行っており、県全体で交流の広がりをみせています。
竹内よし子代共同代表は「一連の事案の後、何か協力できることはないかとたくさんの人が支援を申し出てくれた。今回のことに限らず、多文化共生社会の理解が深まるように何ができるのか市民のみなさんと一緒に考えていきたい。」と話していました。
また、9日にはモザンビークに駐在する濱田圭司特命全権大使が愛媛を訪れ、「モザンビーク政府にホームタウンについての正しい理解を説明済み」と話しています。
改めて、冷静な受け止めが必要です。
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