フィリピン政府は、南シナ海のスカボロー礁をめぐり領有権を争う中国政府が自然保護区を設立すると発表したことに、「強く抗議する」との声明を出しました。

中国政府は10日、南シナ海のスカボロー礁に国家級自然保護区を設立すると発表し、違法行為に対する取り締まりを強化する方針を示しました。

これに対し、フィリピン外務省は11日、「強く抗議する」との声明を出しました。

スカボロー礁は、「フィリピンが長年にわたり主権と管轄権をもっている」としたうえで、中国側に自然保護区の認定を直ちに撤回するよう求めています。

スカボロー礁は、フィリピンの排他的経済水域の内側にあるものの中国が実効支配していて、領有権をめぐる両国の対立が続いています。

中国外務省 林剣 報道官
「黄岩島(スカボロー礁)は中国固有の領土であり、国家級自然保護区を設立することは中国の主権の範囲内のことです」

中国外務省の林剣報道官は11日の記者会見で、フィリピン政府から抗議を受けたことについて、スカボロー礁は国際条約によって定められているフィリピンの領土に含まれていないとして、自然保護区の設立は「中国の主権の範囲内だ」と反発しました。

その上で、林報道官はフィリピン側に対し「道理のない非難や抗議は受け入れない」として、権利の侵害や挑発行為、扇動行動を直ちにやめるよう求めました。