美浜3号機は“70年原発”に?

去年“40年超原発”として国内で初めて再稼働した美浜原発3号機。1976年12月に運転を開始したため、運転年数は45年を超えています。しかしこのうち、東日本大震災後に運転を停止していた2011年5月~2021年6月と2021年10月~2022年8月のほとんどは、テロ対策施設の整備をはじめとして、「新規制基準」への対応で運転を停止していた期間です。経産省の案が実現すれば、この合計約11年を運転年数から引くことができます。“60年原発”どころか、“70年原発”への道が開けるのです。
では、海外では原発の運転年数はどうなっているのでしょうか。原発大国として知られるフランスは、56基の原発のうち40年超原発がすでに20基。10年ごとの安全審査はありますが、運転年数の上限はありません。同じく原発大国のアメリカは、安全審査をクリアすれば20年の延長が何度も可能で、運転年数60年への延長が認可された原発がすでに90基以上。80年への延長が認可された原発も6基あります。日本のお隣・韓国でも、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が“既存原発の運転継続”を推進する姿勢を表明しています。原発の運転年数の長期化は、世界的な潮流とも言えるのは確かです。(※フランス・アメリカ・韓国でのデータは2022年9月時点)
一方で、地震を始め非常に多くの災害に見舞われる日本に、各国と同じ基準をあてはめていいのかという指摘が根強くあるのも事実です。
福島第一原発事故で国民に広がった“原発アレルギー”が少しずつ和らいでいるようにも見える中、国は原発利用推進に明確に舵を切りつつあります。しかし、その推進には安全性の担保が絶対条件であることは言うまでもなく、多くの”高齢原発“を抱える“未体験ゾーン”に突入するという緊張感を我々一般市民も忘れてはならないと強く感じます。
MBS報道情報局(原発担当)松本陸