太平洋戦争中に水没した山口県宇部市の長生炭鉱では8月、市民団体が炭鉱の中から頭蓋骨などの人の骨を初めて見つけ出しました。市民団体は遺骨のDNA鑑定を進め、遺族への迅速な返還に協力するよう日本政府に求めました。

宇部市にあった長生炭鉱は、太平洋戦争中に坑道の天井が落ちて水没し、朝鮮半島出身者136人を含む183人の労働者が犠牲になりました。

海底に取り残されたままの犠牲者の遺骨を遺族に返そうと活動する市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」は8月、炭鉱内から頭蓋骨や大たい骨などを発見。身元の確認は、山口県警が、関係省庁の協力も得ながら適切に対応していくとされています。

刻む会は「1日も早く遺骨をふるさとに返したい」として、日本政府にどのように遺族を特定するのか確認しました。これに対し方法は未定としたうえで、警察庁は「遺骨と遺族のDNA検査は、同じ方法で実施する必要がある」などと説明しました。

刻む会は、「遺族のDNA情報は刻む会と韓国政府が持っている」として、韓国政府への照会を迅速に行ってほしいと求め、外務省は韓国政府との「意思疎通を図る」「できるだけ早く行う」と答えました。

長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会 井上洋子 共同代表
「ご遺族の高齢のみなさんに早くご遺骨を届けたいということですので、同じ思いを政府にも持ってもらい、緊急性を持ってこの問題に取り組んでほしい」

今後の潜水に向けて、厚生労働省におよそ3500万円の財政支援も求めましたが、厚生労働省は「人命に危険が及ぶ可能性がある」として「支援の検討を進める状況にない」と答えました。

来週は、これまで潜水を行ってきた伊左治佳孝さんが、政府に現状などを説明する予定です。