ウクライナ侵攻は、既に9か月に及んでいる。奪われた地域を奪還し、攻勢を続けるウクライナ。その強さの裏に欧米の支援があることは再三報じられてきた。だが、兵器弾薬の供与やロシアへの経済制裁など表向きに伝えられる支援とは別に、秘密の支援ネットワークがあることは知られていない。今年4月アメリカの上院軍事委員会である発言があった。
陸軍特殊作戦司令部司令官 ブラガ中将
「これは“語られざる物語”だが、ウクライナ支援で複数の国々の特殊部隊が連携している・・・」

参加国も具体的な行動内容もここでは明かされなかったが、その支援ネットワークは強大で、今後“偉大なる新たな物語”を生むともこの特殊部隊のトップは語った。今回はその組織について議論した。
■秘密ネットワークの“元”は2014年に始まった
“語られざる物語”の主人公ともいうべき組織がある。『Alliedアライド(同盟)・Commandoコマンドー(特殊部隊)・Networkネットワーク(連携)』(以下、コマンドーネットワーク)
スペルの最後に“o”がついたコマンドーは特殊部隊の意味だ。この組織には、米・英・仏・カナダ・リトアニアなど20か国以上が参加。ドイツに本拠地があることは分かっているが詳しい場所は明かされていない。この組織が、ウクライナの軍事顧問団としての役割を担っている。一体どんな組織で、これまでどんなウクライナの作戦を担ってきたのか…。
世界最古の安全保障研究機関であるイギリス王立防衛安全保障研究所『RUSI』の日本の特別代表の秋元千明氏に話を聞いた。秋元氏はNATOとの会議の場にも参加することもあるという。
英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)日本特別代表 秋元千明氏
「コマンドネットワークは基本的に特殊部隊と情報機関の混成で活動してます。この組織の基礎になったのは2014年で、マイダン革命(親ロ派のウクライナ大統領を追い落とした市民革命)が起きた後に、ウクライナを西側陣営に引き入れるためにできた西側との連携だったんです」
マイダン革命で親ロシア派の政権を倒したウクライナ。ここから一気に欧米との関係を深める。