視覚障害者だけで街に出る “岡山発祥”点字ブロックもない道で...
そんなリハビリセンターでは、目の不自由な人にとって過酷な訓練もあります。
(指導員)
「みんな集合、始めるぞ。いつまでもお菓子を食べてないで」
みな手には、日本のものよりも長い、盲人用の杖を持っています【画像⑤】。この杖が欠かせません。

(指導員)
「今からマーケットに行ってもらう。マーケットの行き方は分かるか?」
(生徒)
「表の通りを左に曲がり…何のためにマーケットに行くのですか?」
(指導員)
「パンを10個、買って来るんだ」
誰の手も借りずに、自分たちだけで買い物に行くのです。

岡山発祥で世界に広がった点字ブロックは、キルギスにはまだ1枚もありません。長い杖で障害物を確認し、あとは音だけを頼りに進んでいきます【画像⑦】。

(信号の音声)
「まもなく赤に変わります」
なぜこんな過酷な訓練をするのか
彼らは耳と手の感覚だけで、道を覚えていくのです。ただ、とても情に厚いと言われる国民性。
(道行く人)
「そっちは危ないよ!」
「信号よ、手を貸そうか?」
道行く人が、次々に手を貸します。

ポイントでは、教官が待ち構えます。常に彼らが無事か、先回りをしているのです。しかし当然、目の見えない中、道に迷うこともあります。
(指導員)
「生徒がいない時は、電話で聞く。毎日この訓練を2時間やっている、毎日毎日」

日本のように、視覚障害者のための社会設備が整っていないキルギス。このような過酷な訓練を乗り越えない限り、彼らは外出することすら、ままならないのです。
目的地のスーパーまで3キロの道のりは、1時間掛かりました。
