南海トラフ地震で最大34メートルの津波が想定される高知県黒潮町で31日夜、夜間の避難訓練が行われました。
黒潮町の芝地区に住む千谷(ちや)さん夫婦は、1946年、10代のころに昭和南海地震を経験しました。

(夫 千谷温勇(ちや・はるお)さん 90歳)
「この家じゃなかったけど半分(家が)道路に倒れていた。倒れた家をジャッキで起こして、そこへ住んでいた」

(妻 千谷裕江(ちや・やすえ)さん 91歳)
「生きている間に(地震が)来るか来ないか分からない」

午後7時自宅に設置した端末から訓練用の緊急地震速報音が流れると机の下に身を隠して命を守る行動をとります。揺れが収まるのを待って外へ避難しました。

暗闇の中近くの高台にある避難場所までの道を自主防災組織のメンバーが誘導棒を持ってサポートします。この日、芝地区では61人の住民が訓練に参加し、夜間の避難路確認を行ったあと避難場所で防災食を受け取りました。

(黒潮町芝地区 坂本あや 区長)
「課題はやはり地域が高齢化してきているので、今まで、ここまで歩いて来られた人たちが、歩けなくなってしまっている。『みんなで逃げられる体制』が必要になってくるなと思いました」

黒潮町役場では災害対策本部の立ち上げ訓練を実施。消防などを通じて収集した町内の避難者情報や被害状況などは町が導入した情報共有ツールを使って庁舎全体で共有します。複数の端末から同時に書き込みができ、写真なども登録可能で災害対策に役立てます。

(黒潮町情報防災課 村越淳 課長)
「夜と昼の違いをきちんと体験していただき、避難の仕方も昼間と夜間では違うということで、それぞれの住民の皆さんの備えに繋げていってほしい」

黒潮町では11月にも総合防災訓練を予定しています。