山口県上関町に計画されている使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設をめぐる問題です。

事前の調査を進めてきた中国電力は立地は可能とする調査結果を町に報告しました。

上関町役場前には朝早くから計画に反対する住民らが集まり、抗議しました。

福満まい 記者
「午前11時前です。中国電力の社員が今、上関町役場に入っていきます。反対派から激しい抗議の声が響いています」

午前11時前、中国電力の大瀬戸聡 常務執行役員らが上関町役場を訪れ、西哲夫町長に立地可能性調査の結果を報告しました。

中国電力 大瀬戸聡 常務執行役員
「中間貯蔵施設の立地は可能であるとの判断を致しましたので、ご報告を申し上げます」

中間貯蔵施設をめぐっては2023年8月、西町長から地域振興策の要望を受けた中国電力が、町に建設に向けた調査の実施を申し入れました。

町は調査を受け入れ、中国電力はこれまでに文献調査や活断層の有無などを調べるボーリング調査を実施しました。

中国電力によると調査の結果、気象、地盤、津波、社会環境などの9つの項目で「技術的に対応できない問題はない」と確認し、「上関町での中間貯蔵施設の建設は可能」と判断したということです。

地盤に関しては、支持基盤となる硬い岩盤があることが確認されていて、周辺の活断層は「施設の耐震設計を適切にすることで対応可能」としています。

中国電力 大瀬戸聡 常務執行役員
「調査結果のご説明などにしっかりと丁寧に対応し、一層のご理解をいただけるよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます」

今後、町に施設の規模などを含めた事業計画を示すことになりますが、時期は未定としています。

報告を受けた西町長は「確認し精査していきたい」としたうえで、町議会、町民、近隣の自治体から要請があれば丁寧に説明するよう中国電力に求めたということです。

西哲夫 上関町長
「この調査結果を踏まえて議会、住民の皆様方がどのように判断をされるのかしっかり見極めて、次の段階へ進められれば進めるし、進められなければ進められないということになると思います」

建設の是非については、議論を尽くした後に、町民の代表である議会の意向を尊重して判断したいとしています。

計画に反対する町民からは、「立地は可能」とする調査結果への不満の声が聞かれました。

上関原発を建てさせない祝島島民の会 木村力 代表
「予想はしていたのでこれからどうするのか、
とても私たちが考えた適地とは思えませんので
進めるのは難しいと思うんですけどね」

上関町議会 清水康博・議員(反対派)
「町内、町外からも計画に対しての反対の声というのもかなり上がっていましたので、その声を全く聞くこともなく、無視して適地判断というのは怒りもあります」

一方、計画を推進する立場からは
期待の声が聞かれました。

上関町議会 柏田 真一議員(推進)
「安全性っていうものは、
しっかり確保されているものと
されていますので、1日も早く
企業誘致と財源確保の策として
進めていってもらいたいと思います」

山口県の村岡嗣政知事は取材に応じ、
「自治体の判断を進捗に応じて把握していく」
としました。

村岡嗣政 山口県知事
「町の意向もそうですが、周辺の自治体の
理解が大変重要だと思っていますので、
そうした状況もしっかりと把握し、安全性が大前提でありますけども、そういう観点で今後の動向をしっかり見ていきたい」

知事はこれまでと同様に原発と中間貯蔵施設の両方が同じ場所にあることは負担が大きいとの懸念を改めて示しました。

山口県としての判断は、事業計画を上関町が了承した場合、その後に示すことになるだろうとしています。

周辺の1市3町をとりまとめる立場でもある柳井市の井原健太郎市長は次のように話しました。

井原健太郎 柳井市長
「不信不安不満懸念、そういった声があるといったところをしっかりと、まさに責任を有する国、電力事業者について、その対応というかその一方的な説明ではない、いろんな声にしっかり向き合う、そういった質疑を尽くすような場を
求めていきたい」

上関町で建設が決まれば、青森県むつ市に続き2例目となります。