体の慢性的な痛みに対する再生医療の治療中に、50代の女性の容体が急変し死亡したとして、きょう、厚生労働省は治療を行ったクリニックに対し、再生医療の提供を一時停止するよう緊急命令を出しました。

再生医療安全性確保法に基づき緊急命令を受けたのは、東京・中央区にある「一般社団法人THティーエスクリニック」と、埼玉県坂戸市にある「コージンバイオ株式会社 埼玉細胞加工センター」です。

厚労省によりますと、このクリニックでは、脂肪から取り出した幹細胞を増やし、注射で患者の体内に戻すことで、慢性的な体の痛みを改善するという再生治療を行っていたということです。

クリニックが今月20日、外国籍の50代の女性患者に、この再生治療を行っている際、女性患者が容体が急変し、その後、搬送先の病院で死亡が確認されました。

再生医療の治療中の患者が死亡し、緊急命令が出るのは初めてです。

患者が死亡した原因が明らかになっていないことから、厚労省はクリニックと細胞加工施設に対して医療の提供と細胞加工の製造を一時停止するよう命じたということです。

このクリニックはJNNの取材に対し、「今回の死亡が治療と関連あるのかどうか現時点で分かっていないので、解剖の結果や第三者の意見をあおいでから対策を考える」などとしています。

また、細胞加工施設は社内調査において「すべての工程において、適切に実施されていたことを確認しております」とした上で、「今般の行政処分を重く受け止め、今後も製品の安全性と品質確保を最優先に、適切な情報開示と誠実な対応に努めてまいります」などとするコメントを発表しています。

厚労省が今後、患者が死亡した原因を調べます。