なかなか人には聞きにくい、ホンネ話を聞く「経済の話で困ったときに見るやつ」。今回のテーマは「金利は!?価格は!?どうなる2023年住宅市場の行方」。ポイントは「止まらぬ高騰 物件価格はどうなる?」「変動、固定 住宅ローン金利はどうなる?」「2023年 住宅市場の暴落リスクは?」の3つです。

■東京23区の新築マンションは平均で1億円近く それでも“バブルではない”との分析も

赤荻 歩(TBSアナウンサー)
不動産経済研究所によると、10月に首都圏で発売された新築マンション1戸あたりの平均価格は6787万円で、去年の同じ月より0.5%上昇して、2か月連続の上昇となりました。東京23区の平均価格は去年の同じ月より10.8%上昇し9365万円でした。東京23区は1億円に手が届く金額になっていますが、この水準は続いていくのでしょうか?

中山 登志朗(LIFULL HOME’S総研 副所長)
今の状況でいうとマンション価格は下がる理由がない。サプライチェーンがひっ迫し、エネルギー・資材価格が高騰しているため。また突出して高い物件も都内にはたくさんある。私が知っている物件で一番高い金額は一戸で60億円くらい。これ一つの建物ではなくて一つの部屋で60億円。そういうのもあって平均価格は上がっている。

末廣 徹(大和証券チーフエコノミスト)
経済の観点からいうと価格だけ見てバブルという話はできないと思っていて、日本の家計の可処分所得の状況や住宅ローン金利の観点から「支払い能力」を指数化したHAI(住宅取得能力指数)というのがある。これはポイントが低いほど住宅を買う能力が足りていないことになるが、今は比較的、高くなっている。このからくりは、この10年、日本では一気に共働き世帯が増えていて、世帯での可処分所得が増えているのと比較的、住宅ローンを組みやすい状況にあるため。なので家の価格が上がると思って買うというよりは、家を買う能力があるから買うということで、そういう意味では「バブルではない」という分析もできる。

■変動金利は「変動しない」? 背景に日銀の“2段階政策”

赤荻 歩(TBSアナウンサー)
住宅ローンですが、住宅金融支援機構が行った実態調査では7割以上の方が「変動型」を選択しています。

中山 登志朗(LIFULL HOME’S総研 副所長)
変動の方が金利が低く、借り入れた返済額が少なくて済むし。急に翌月に上がるといった急激な変動ができない仕組みになってる。なので固定で借りるより変動で借りたほうが得だと言える。

赤荻 歩(TBSアナウンサー)
住宅ローンの推移を見ると変動金利は変動という割にはほとんど横ばいですね。

中山 登志朗(LIFULL HOME’S総研 副所長)
変動金利って「変動しない」そして、固定金利は「変動しやすい」。変動金利は、短期金利と連動していて、金利がもともと低くて、動きにくい。一方、固定金利は長期金利と連動しているので金利が上がりやすい。

末廣 徹(大和証券チーフエコノミスト)
日銀はずっと短期金利だけ低くして景気を良くしようとしていたが、賃金などがあがらないので、全部の金利を押し下げようと「イールドカーブ・コントロール」という金融政策をとりだした。具体的には市場に出回っている国債を日銀が買い入れて、国債の価格を上げて、反対に金利を下げるというもの。ただ日銀の政策は「2段階」で、まず短期を小さくする。その上で、10年金利を小さくする。つまりどっちがメインかというと短期金利を小さくすることになる。

赤荻 歩(TBSアナウンサー)
いま長期金利が上がっていますが、2段階目となる短期金利が上がる日は来るのでしょうか?

末廣 徹(大和証券チーフエコノミスト)
ものすごい勢いで日本もインフレになって、金利をあげて、景気を悪くしないとインフレが止まらないということになれば、アメリカは短期金利が4%くらいまで上がっているが、それに追随する可能性もゼロではない。だから住宅ローンは自己責任。