きっかけは暴行事件。規制対象は公園全域に。参拝もお題目も・・・ダメ?
入場規制のきっかけは、おととしの原爆の日に、この場所で起きた暴行事件です。団体の5人が広島市の職員に集団で体当たりしたとして逮捕・起訴されました。この事件を受け、広島市は去年から「平和記念式典を安全に実施するため」として、平和公園の全域を入場規制の対象としました。

入場ゲートが開くのは、式典開始の2時間前(午前6時)。公園に入るには、手荷物検査を受けなければいけません。
拡声器や楽器といった大きな音を発するものだけでなく、プラカードや横断幕、ビラの持ち込み、ゼッケンやタスキの着用も禁止されました。
男性
「安全のためなんで必要だとは思います。今、何が起きるかわからないですから」
入場規制に賛同する声の一方で、不満の声も聞かれます。
参拝のため、例年通り平和公園を訪れていた高齢女性は、規制の開始の時間になってしまったために、市の職員や警察から、一旦公園の外に出て手荷物検査を受けてから再入場するよう促されたといいます。

高齢女性
「供養塔でお参りして帰ろうとしたら、警察の人が来て『近い出口から出ろ』と」
一緒にいた女性
「お参りしてそこの出口からすぐ帰るだけなのに、もうそれもさせてくれない」
高齢女性
「私ペースメーカーつけてやっと息してるのに、それなのにそこから出て行けと」
一緒にいた女性
「こんな市が決めたルールだからって全ての人を一律に。朝から涼しい時間に、歩いてるだけなのに。しかもだいぶ遠いですよ。式典会場なんて」
女性がいた場所は供養塔のすぐ近くで、一旦出された場所から、手荷物検査のゲートを通って、再び供養塔にお参りするのは、かなり遠回りになるため、身体の負担が大きくなってしまいます。

長年、平和公園で太鼓を打ち、死没者を追悼してきた僧侶たちの「座り込みご祈念」も、去年から移動を余儀なくされました。6月にも、入場規制の撤廃を市に申し入れましたが、認められませんでした。
日本山妙法寺 武田隆雄僧侶
「信教の自由なり、表現の自由があるにも関わらず、公園から閉め出すということを一律にやっちゃってる。それは戦争前夜と同じですよ」
原爆の犠牲者になりきって、核兵器廃絶をアピールする表現活動=ダイ・イン。今年の参加者は180人ほどだったそうです。これも従来の原爆ドーム前ではなく、道路を挟んだ北側で行われました。