テレビ局には番組を観た視聴者から様々な声が寄せられる。TBSテレビの「視聴者センター」は、こうした声を集約し番組制作の現場にフィードバックさせるのが仕事だ。担当者が寄せられた“声”の一端を紹介する。

今年の8月は戦後80年という節目でした。「テレビが戦争を伝えること」に関するご意見が、この時期は多く寄せられます。テレビは昔ほど終戦について考える企画を放送しなくなった、という印象をお持ちの方が増えているように思いました。

そんな中、8月14日に放送した『戦後80年特別番組「なぜ君は戦争に?綾瀬はるか×new23」』にも、様々なご意見・ご感想をいただきました。

「軍人だった祖父から、戦争は人殺し、絶対にしてはならないと強く戒められていました。このような、戦争の悲惨さを後世につたえる番組を定期的に放送して下さい」(60代男性)

ほかにも、事象の背景などをもっと掘り下げて伝えてほしい、というような番組内容への幅広いご意見が届きました。また、ご紹介した声のように、こうした番組を毎年やってほしい、伝え続けてほしいという要望が多数あり、戦争に対する怒りと悲しみもたくさん届きました。

次にご紹介するのは、言葉と時代背景についていただいたご指摘です。

報道番組で、昨今の労働力不足で高卒の人材が注目されている、という特集が放送された際、こんなご指摘をいただきました。

「⾼卒採用の⼈材のことを『⾦の卵』と表現していましたが、⾼度経済成⻑期、『金の卵』とは、『若くて安い労働⼒』を意味していたと思います。地方の子どもたちが、中学を卒業してすぐ集団就職をしたつらい背景があります。現代の⾼卒者に当てはめるのはどうなのかなと感じました」(60代男性)

この「金の卵」、番組としては、“まだ成熟しておらず、前途が非常に有望であるが、希有であり獲得がたいへん困難なもの”という意味で使った言葉です。間違いではないですが、かつて流行語にもなったような言葉を用いる場合、当時の使われ方によっては、違和感をもたれる可能性もあることに気づかされました。

もう一つご紹介するのは、情報番組で放送されているオーディション企画をめぐるご意見です。

6月から放送されていたこのコーナーについて、7月末に「放送してくれるのはとてもうれしいが、同様のオーディションで誕生したのに名前が紹介されないグループがあるのはファンとして残念」という指摘が、幅広い年齢層から多数届きました。

この声に、番組がすぐに対応したところ、早々に感謝の声が。

「先週、表現を変えて欲しいとメールしたものです。今週すぐにグループ名が紹介されていたので感激しています。迅速な対応ありがとうございました」(40代女性)

対応したことを見届けて早速感謝の声を寄せていただいたこと、嬉しく思いました。こうした声が私たちの励みとなります。

TBS視聴者センターでは、届いたすべてのご意見に目を通し、番組やコンテンツの制作に皆様の声を反映できるよう、全社でアクセスできるイントラネットで共有しています。

視聴者の皆様の声は番組をより面白く、深くする大切なヒントであり羅針盤となります。一同そう思いながら今日も現場に声を届けています。

〈執筆者略歴〉
浜崎 由佳(はまざき・ゆか)
1995年TBS 入社。
ラジオ局、報道局、事業局などを経て、編成考査局。現在カスタマーサクセス室長。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。