日本人にも人気の観光地・ハワイ。美しい景色とは裏腹に増加するホームレスが社会問題となっています。そんななか、自立を目指す人たちが住む「ホームレス村」と呼ばれるコミュニティを取材しました。

美しい海を求めて世界中の人々がやってくるハワイ。その一方、ホームレスの割合は10万人あたり434人、全米で5位と最悪の水準で、社会問題となっています。

記者
「所狭しとホームレスの方々のテントが立ち並んでいます。ずっと奥の方まで続いています」

ワイキキビーチから車でおよそ1時間。ここには180人ほどが暮らしていて「ホームレス村」と呼ばれています。

ホームレス村の住人
「ここが私が料理するキッチンです」

水を浴びるだけの「シャワー室」もあれば、太陽光パネルも設置されていて電気も使えます。

実は、この場所に住む多くの人が職に就いています。

ホームレス村の住人 カララさん
「ここの8割の人が働いています。(Q.それでも家賃は払えない?)その通りです。ハワイでは生活費の高さに比べて給与水準が極めて低いんです」

ハワイでは物価高に加え、民泊などの不動産購入の影響で住宅価格が高騰。地元住民が賄える住宅が不足する状況が続いています。

この「ホームレス村」、その運営方法が注目されています。

ホームレス村の住人 カララさん
「窃盗は禁止、それぞれの敷地の境界線への配慮も必要です。学校に通っている子どももいるので、午後10時~午前8時までの騒音も禁止です」

いくつものルールがあり、違反を繰り返すと退去を求められます。そのほか…

「会議をはじめます」

地区や防犯などの分野ごとに責任者が配置され、定期的に運営会議を行っています。行政に頼らないコミュニティ主導の運営が、他の地域でも応用可能だと期待されています。

一方、この場所は実は州の土地。ホームレス村は不法占拠にあたり、これまで立退きを求められたこともありました。そうしたなか、今年、新たな動きが。

ホームレス村の防災担当 カララさん
「1つの部屋の大きさはこれくらいです」

村が立ち上げたNPO法人が2020年に、東京ドームおよそ2個分に相当する土地を140万ドルで購入。住宅も含め全て寄付金で賄われ、キッチンやトイレを共用にしてコストを抑えました。費用はおよそ4万円で、今年5月から転居が始まっています。

ホームレス村から引っ越した人
「これまでは日々生き延びるだけで精一杯でしたが、将来について考えられるようになりました」

今後は農園なども運営し、利益を住居の増築やインフラ整備に充てる予定です。

ホームレス村の防災担当 カララさん
「思い切りドアを閉めて鍵をかけられます。みんなが家を持てる日がとても楽しみです。私たちの2度目のチャンスが始まります」