御神木は姿を変えて見守り続ける

楽器作りと並行して進められていた、大杉の保存。約35トンある、根元から5メートルの部分が境内に立てられます。雨で木が痛まないよう、金属の屋根がかぶせられました。2022年3月。しめ縄が地元住民の手によって張られ、新しい姿の御神木です。


(地元の人)
「形は小さくなったけれど、気持ちはあそこに、いつも通るたびに気持ちはあります、私は」
「(大杉が)倒れたおかげで、町民が一丸になれたと思う」


そして11月12日、復活した大杉の前で御神木から生まれた2つのバイオリンが大湫町に贈られました。大勢の町民たちが集まる中、いよいよ“大杉の音元(おとはじめ)”です。バイオリン作りに参加した学生たちの姿もありました。


流れるバッハの調べ…。

(地元の人)
「バイオリンを聴くってことが珍しかったので、すごくきれいな音で気持ちがよかったです。倒れたって聞いたときは、すごく寂しかったんですけれど、それが楽器になったと聞いてうれしかったです」。


(3年・西田美咲さん)
「6月に教室で聴いた時よりも深みが出ているというか、温かい音」

倒れた大杉は、多くの人をむすびつけました。


(池尻弦楽器工房・池尻雅博さん)
「杉の形がバイオリンの形に変わって、今までは見守ってくれていた存在。これからはともに歩んでいってもらう存在」

670年間、住民を見守ってきた御神木は姿を変え、その音色で生きていています。

CBCテレビ「チャント!」11月15日放送より