日本が存在感を示すには「誠実なビジネスパートナーになるべき」

高柳キャスター:
中国がアフリカに対しても存在感を増しているなか、外務省幹部は「物量とスピードでは中国に太刀打ちできない」と話しています。現地のケニア人記者は、「中国製品の普及で、日本よりも圧倒的に認知されている」とも話していました。

TBS報道局政治部 大崎 記者:
外務省の方がもう1つ言っていたのが、「ノーコンディショナリティ」でした。中国は条件なしで融資をしているので、日本のプレゼンス(存在感)は弱くなってしまうということです。

前の仕事の関係でケニアに駐在していたことがありますが、街を見回すと中国が建設したスタジアムがあったほか、電化製品などもほとんど中国製でした。鉄道や道路などのインフラも中国のものが出回っているなかで、日本のプレゼンスを示すのはかなり難しい状況にあります。

高柳キャスター:
では、日本が存在感を示すにはどうすればいいのでしょうか?

TBS報道局政治部 大崎 記者:
私が考える一番重要なポイントは、「日本は誠実なビジネスパートナーになるべきだ」というところです。「誠実」というところが日本の強みでもあり、弱みでもあると思います。

日本の交渉は、すごく慎重に行うのでプロジェクトや支援をすぐに実行できません。ただその分、現地に入り、一緒に作って、双方にメリットのあるものを作り上げるといった丁寧な仕事は日本の得意分野です。こういった分野で、存在感を示していけたらなと思っております。

井上キャスター:
中国が力を入れて資金力に物を言わせて行うといった一方で、債務の罠のようなリスクはある。日本は誠実さ、信頼感などを高めてパッケージでどう売り込んでいけるのか。

外交はすぐ芽が出るものではないので、長く見ていかないといけないというのもあるわけですよね。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
中国は欧米が自国ファーストになる中で、逆にアフリカに積極的に投資をしています。それが「児童労働」や「自然資源」、「過剰開発」などの問題に繋がっているので、それとは違った形でソフト分野に注力していくというのは、日本がアフリカと対等に築いていくというヒントになるのではないかと思います。

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<プロフィール>
大崎雅基
TBS報道局政治部 外務省キャップ
前職はNGO職員 ケニア駐在経験も

斎藤幸平
東京大学准教授 専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破