墓には「戸籍上にはない「点」がある」

母・つるさんは、終戦から約10年がたってようやく息子の墓を建立。しかし、その後も「息子は生きている」と度々口にしていたそうです。その思いは、墓石を見ればわかると話す幡新さん。

(幡新さん)
「よく見ると、横井庄一の『庄』の字に戸籍上にはない「点」がある。“あの一点”を、横井庄一さんが生きて帰ってきて見れば『自分の墓ではない』と思う。自分の字ではないから。それくらいの意味がある」

墓石の文字は「庄一」と読めるも、息子、庄一の墓ではないという母の強い思いがくみ取れると言います。

(幡新さん)
「あえてそこまでやっているのは、相当強い確信がないとできない。生きていると。その思いが息子に伝わるような一画になる」

横井さんは、母つるさんが他界して14年後に帰国。東京の病院で80日あまり静養したのち、ふるさと名古屋へ。実家にたどり着く直前に横井さんが立ち寄ったのは、横井家の墓。

(横井さん)
「親孝行もできなくてすみません。でもやむを得ないです。お国のためにご奉公したんですから。お母さん、勘弁してください」

(幡新さん)
「国の行為で、ここまで個人は振り回される。その大きさに響いてくるものがあるなと」

幡新さんが、横井さんの遺品の中から今回、特に見てほしいと言ったのが…