戦時中の南京事件(1937年)について、元サッカー日本代表・本田圭佑さんがXに投稿した内容が話題を呼んでいます。RKB毎日放送の神戸金史解説委員長は「中国側のオーバーな『30万人犠牲者説』を否定するには、まず日本が事実を認めないと始まらない」と提言。8月12日放送のRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で、歴史学の視点から考え方を示しました。
本田圭佑氏のSNS投稿
本田圭佑さんが8月9日、X(旧ツイッター)に以下のようなポストしていました。
@kskgroup2017(Keisuke Honda) 8月9日午後4時13分
石原慎太郎さんのことが好きなこともあり、歴史のことは知ってたつもりだったものの、希望的コメントをしました。ただ一次資料などを詳しく調べたら、事実はほぼ歴史通りであると思いました。この点、僕の間違いでした。(改めて勉強するキッカケを頂き、ありがとうございました!)
「間違いとは?」と、前日8月8日の本田さんのポストを見ると、「南京大虐殺についての、石原慎太郎さんと河村たかしさんの話。みな良く聞いておいた方がいい」とポストされた短い動画を本田さんが引用し、「僕もそう信じてる」と投稿していました。
引用された動画の中で、南京事件について石原慎太郎氏が「日本軍による40万人もの虐殺はなかった」と、強い言葉で話していました。2012年の動画のようでした。それを「信じてる」と引用したことを「僕の間違いでした」と訂正していたのです。
1937年12月、日中戦争の時に中国大陸に攻め込んだ日本軍は、南京で激しい攻略戦を繰り広げた後占領、投降してきた兵士を銃殺しています。市民もおそらくいたと思われます。中国は「30万人もの犠牲者がいた」と国家として主張しています。本田さんは、1次史料(本田さんのポスト本文では「一次資料」)などを詳しく調べたら「事実はほぼ歴史通りであると思いました」とし、4つに分類して紹介していました。
1つ目は、「兵士の日記・書簡」。清水潔著『「南京事件」を調査せよ』に引用された兵士日記や、『南京事件 陸軍将校の手記』などです。
2つ目が、「軍内部文書」。第6師団の戦闘詳報にある「捕虜数千人の殺害命令を示唆する記録」など、いくつかが挙がっています。
3つ目は、外国人が見た記録。「占領直後の大量殺害・婦女暴行を日々詳細に記録」したものや宣教師が書いたものがあります。
それから4つ目、外国の報道機関が当時報道しています。ニューヨーク・タイムズ、シカゴ・デイリー・ニュースなどがあります、と本田さんはポストしたのです。
これに対して、いろいろな意見が出ています。「そう信じてる」と言った瞬間から、南京虐殺があったと思う人からワーッとコメントが来ていました。また「僕の間違いでした」と言った翌日のポストに対しては、今度はなかったと思う人から「もっと勉強してください」などいろいろなコメントが来ていて、「すごいな、これは」と思って見ていました。
最後に、本田さんがもう一つポストしていました。
@kskgroup2017(Keisuke Honda) 8月9日午後4時18分
これらの史料は、戦後になって創作されたものではなく事件直後から存在し、複数の国・立場からの独立した記録が一致しているため、学術的に高い信頼性がある。
兵士の日記・書簡、軍の内部文書、外国報道機関の記事、そういったものを含め、「戦後になって創作されたものではない」と言って、間違っていたと訂正したわけです。「誠実な姿勢だな」と思いました。