家族・親族が集まるお盆に話しておきたいのが「相続」の話です。「お金持ちが揉めるというイメージをお持ちでしょうが、そうではない」「みなさんウチは大丈夫、と対策をされていないんですよね」と話す円満相続税理士法人・橘慶太代表への取材をもとにお伝えします。相続争いはなぜ起きてしまうのか、その火ダネは3つあるということです。
親が70代になったら相続を見越した話を
令和6年司法統計年報によると、遺産分割をめぐる争いの遺産額は、「1000万円以下」が35.5%、「1000万円超~5000万円以下」が42.4%で、あわせて約8割が5000万以下となっています。
この金額には自宅や土地の評価額なども含まれるため、決してお金持ちではない“普通の家庭”でも相続で揉めることはあり得ます。橘氏によると、「バランスを取れるだけの金銭がない家庭が揉める」とのこと。例えば、不動産は2000万円・預金は500万円などのご家庭で、一人がその家に住むとなったら、不動産と預金のバランスが悪くなり、遺産の分け方が問題になるそうです。
「トラブルを防ぐ意味でも、親が70代になったあたりから相続を見越した話を」と指摘するのは橘氏。できれば親から切り出すのが理想ですが、それが難しい場合は、子どもの側から「介護が必要になった時どうしようか?」と介護の話をきっかけにすれば、施設への入所や、家のリフォームなど、必然的にお金の話になってくるため、話しやすくなるそうです。
なお、認知症になってしまうと、その先の意思決定は、遺言書をはじめ法的な行為がほぼ無効になってしまうため、介護と認知症、相続の話は一緒にしておく必要があります。