日本時間7日午後1時1分、アメリカ・トランプ政権による「相互関税」の新たな税率が発動されました。しかし、日米で合意した内容に認識のズレが生じています。

日本はスピード感を重視し、合意文書を望まず?

井上貴博キャスター:
何が起きているのだろうかと頭がごちゃごちゃになってきます。やはりトランプ大統領としても、支持率が4割を切っているといわれているため、もしかすると焦りもあるのかもしれません。

相互関税における日米間の“ズレ”をみていきます。日本としては、今15%未満の品目については一律15%に引き上げ、15%以上の品目については据え置き、全体的に一律15%の関税になるという認識でした。

ところが、きょうになってアメリカのトランプ大統領は「いや、すべての品目に15%上乗せするつもりです」と話しています。

具体的にいうと、たとえば緑茶は従来の税率が3.2%です。日本はこれが15%に引き上げられると思っていましたが、アメリカの考えでは、3.2+15で18.2%になります。

また、牛肉は従来の税率が26.4%です。もともと高いのですが、日本の考えでは、26.4%のまま据え置きになるはずでした。しかし、アメリカの考えでは、26.4+15で41.4%になり、40%を超えます。

関係者としてはたまったものではなく、41.4%の関税なんてかけられたら、商売は死活問題だという話になるわけです。

日本とアメリカで、なぜこういった認識のズレが起きたのでしょうか?まだ情報が少ないので、今は可能性の話しかできないのですが、明海大学の小谷哲男教授に話を伺いました。

小谷教授によると「日本としてはスピード感を重視していたので、合意文書を望まなかったのではないか」ということです。

今までは、トランプ大統領が形を残したくないから合意文書を望まなかったのではないかといわれている向きもありましたが、日本側が望まなかったというのが小谷教授の分析です。

EUは、今15%未満の品目については一律15%に引き上げ、15%以上の品目については据え置きという特例措置をアメリカと結んでいます。日本はこれで行きたかったのです。

アメリカは「日本に最良の関税措置を」と言っていたため、日本は、EUの特例措置を日本にも適用してくれると思っていました。もっと言うと、きっと閣僚レベルでは、ここで握手できていたのだろうと推察できます。

ところが、最後にちゃぶ台をひっくり返したのがトランプ大統領なのではないか?

関税措置について、自民党の小野寺五典政調会長は「閣僚間では日本が特例に対応することを確認している」と、閣僚間では合意ができていたことを示唆するコメントをしています。

また、「一日も早く“合意内容と同じ形に修正するよう”政府に求めていきたい」とも話しています。