ことしの平和記念式典には過去最多となる120の国と地域が参列しました。大使たちは式典参列をどう感じたのか。取材しました。
5日広島市が主催した歓迎夕食会。平和記念式典に参列するため広島入りした、国や地域の代表らおよそ240人が集まりました。

市はことしの式典で、これまでの「招待」から、全ての国と地域に開催を知らせる「通知」を送る方法に変更。参列国は、過去最多の120の国と地域になりました。今回初めて参列を決めたパレスチナの大使が取材に応じました。
パレスチナ ワリード・シアム大使
「我々は広島と連帯しています。戦争がなにをもたらすのか我々も日々感じているからです」
ガザ地区では、イスラエルの攻撃が続き、深刻な食糧不足にも陥っています。大使はイスラエルの式典参列について質問が及ぶと
パレスチナ ワリード・シアム大使
「(イスラエルは式典に)これまで何度も参列しているにも関わらず戦争の悲惨さをなにも学んでこなかった。そしていまも戦争を続けている。広島の教訓を学んでいない。パレスチナをバラバラ(PIECES)にするのでなく平和(PEACE)を望みます」

イランのペイマン・サアダト大使です。アメリカ・トランプ大統領はイランの核施設への攻撃を、広島と長崎への原爆投下を引き合いに正当化する発言を行いました。
イラン ペイマン・サアダト大使
「日本に対してもイランに対してもとんでもない発言だ」
5日、大使は松井市長を表敬訪問。松井市長からは、核兵器の廃絶と恒久平和を願う「ヒロシマの心」への共感を求められました。
イラン ペイマン・サアダト大使
「原爆に焼かれた広島は復興を果たしました。手をつなぎ合わなければならない。復讐に正義はない」

一方のイスラエル。夕食会の合間に取材に応じました。
イスラエル ギラッド・コーヘン大使
「ハマスによるテロの脅威にさらされつつも平和記念式典に参加できたことを誇りに思います」

6日、5万5000人の参列者の中に大使たちの姿もありました。
広島 松井一実市長(平和宣言)
「世界中の為政者の皆さん。自国のことのみに専念する安全保障政策そのものが国と国との争いを生み出すものになってはいないでしょうか」
初めて参列した平和記念式典をパレスチナの大使はどう受け止めたのでしょうか。
パレスチナ ワリード・シアム大使
「広島と長崎は我々に希望を与えてくれます。パレスチナを立ち直らせるためにも我々は希望を捨ててはならない。それをきょう式典から学びました」

過去最多の国と地域が参列したことしの平和記念式典。大使たちは学びや気づきを得て、広島をあとにします。