愛媛県伊方町にある伊方原発の使用済み核燃料について、四国電力は電気や水を使わない「乾式貯蔵」という新たな一時保管施設の運用を先月から始めました。5日、報道陣に内部が公開されました。

四国電力が先月31日から運用を始めた「乾式貯蔵施設」は、原発敷地内の海抜25メートルの場所に設置されています。
こちらが使用済み核燃料を収納する「乾式キャスク」と呼ばれる金属製の容器です。容器の直径は2.6メートル、高さは5.2メートル。重さはおよそ120トンあります。
現在、使用済み核燃料32体が入っています。

四国電力によりますと、「乾式キャスク」は二重のふたに金属製のパッキンを挟んで密封。内部には、燃料どうしがくっつかないよう仕切り板が設けられ、核分裂の連鎖反応を防ぐ構造になっているということです。

原子炉から取り出したばかりの使用済み核燃料は、放射線量が高く余熱も残っているため、そのまま「乾式キャスク」に収納することはできません。そのため、現在、中に入っている使用済み核燃料32体は、プールで15年以上冷やしたものを移したということです。それでもキャスクの表面温度はおよそ60℃。「キャスク」からの熱が伝わり温まった空気は、建物の上にある排気口へと流れます。空気の自然循環を利用した仕組みで電源は必要ないということです。

(伊方原発・横山照晃広報課長)
「電気とかそういったものをまったく使っておらず、置いておくだけで自然の対流で冷える。まったく電気や水を使っていないのがメリットになる」

こちらの施設の中には「乾式キャスク」を最大45基収容することが可能で、伊方原発にはすでに、もう1基が届いていて、他に13基をメーカーに発注しているということです。乾式貯蔵施設は伊方原発が全国4か所目で、「乾式キャスク」は60年間使用できるということです。

伊方原発に新たに「乾式貯蔵施設」を整備した背景には、使用済み燃料プールの容量が限界に近づきつつあることがあります。

(伊方原発・横山照晃広報課長)
「乾式貯蔵施設は青森県六ヶ所村のサイクル施設に搬出するまでのあくまでも一時的な保管となる。これまでの使用済み燃料プールでの保管と同様に適切に搬出していきたい」