大分県宇佐市で2020年、親子2人を殺害し、現金を奪ったとして強盗殺人などの罪に問われた佐藤翔一被告(40)の控訴審判決で、福岡高等裁判所は5日、死刑とした1審の判決を支持し、被告側の控訴を棄却しました。被告側は即日上告したということです。

この事件は2020年2月、宇佐市安心院町の住宅で、山名高子さん(当時79)と長男・博之さん(当時51)が殺害されているのが見つかったものです。

宇佐市安心院町(2020年)

事件から約1年8か月後、大分市に住んでいた佐藤翔一被告(40)が逮捕され、2人を包丁などで殺害し、現金8万8000円を奪った強盗殺人などの罪で起訴されました。

2024年5月から始まった大分地裁の裁判員裁判で、被告側は「現場近くまで車に乗せたマスク姿の男が真犯人と思う」などと述べ、一貫して事件への関与を否定し、無罪を主張。一方、検察側は「うそのストーリーをでっち上げ、事実と向き合う姿勢は皆無」と指摘。死刑を求刑しました。

佐藤翔一被告 大分地裁・2024年

判決公判で大分地裁は「犯人であることが認められ、合理的な疑いがない」として、死刑を言い渡しました。

福岡高裁で行われた控訴審では、弁護側は「現金を奪った行為とともに被告の犯人性についても事実誤認がある」と無罪を主張。証拠7点の採用を求めましたが、いずれも棄却されました。

一方、検察側は控訴の棄却を求め、裁判は即日結審していました。

福岡高等裁判所の平塚浩司裁判長は5日、「被告人の車両から女性被害者のDNAが検出されたことなど、犯人性を強く推認でき、1審判決は不合理とはいえない。殺害の計画性があると明らかに認められないが、極刑はやむを得ない」として被告側の控訴を棄却しました。

これを受けて、福岡高検の村中孝一次席検事は「適正・妥当な判決であると受け止めている」とのコメントを出しました。