7月30日、ロシアのカムチャツカ半島付近で大きな地震が発生し、その影響で日本各地に津波警報が発表され、すべて解除されるまで32時間。各地で津波の到達が確認されました。
津波は、海の生き物たちにとっても決して無視できないインパクトをもたらします。生物に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに聞きました。
海の生物への影響は?
ー津波は海の生き物にどのような影響を与えているのでしょうか?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「まずは、混同しがちな『津波』と『高波・高潮』の違いから整理しておきましょう。
津波は、地震や海底の地形変動によって発生する、海水面の急激な変動です。海底が大きく動くことで、水が大きな塊となって押し寄せてきます。
一方、高波は遠くの台風や低気圧による周期の長いうねりによって生じるもので、海面が大きく上下に揺れるのが特徴です。
見た目の波の高さにかかわらず、いずれも強く持続的な水の動きが沿岸を洗い、そこに暮らす生き物や地形に影響を与えます」
ー沿岸の生き物に大きな影響を与えそうですね。
「はい。潮間帯と呼ばれる、普段は潮の満ち引きで海水に浸かったり顔を出したりする岩場や干潟、浅瀬には、多種多様な生き物たちが生息しています。
しかし、津波によって海底が強くかき混ぜられると、これらの生き物たちは大きな試練にさらされます」
「たとえば、岩に貼りついて生きるフジツボやカメノテは、激しい流れによって剥がされてしまうことがあります。
泥に潜って生活するゴカイや二枚貝(アサリ、ハマグリなど)といった底生生物も、泥ごと撹乱されて埋まってしまうことで窒息したり、一緒に巻き上げられて流されたりしてしまいます」
「さらに、水中に巻き上がった泥による濁りや塩分濃度の変化は、稚魚やエビ・カニの幼生といった小さな生き物たちにとって致命的です。
弱ったり流されたり、隠れ家となっていた海藻や海草もなくなったりして他の生物に捕食されやすくなったりと、生き延びる確率が大きく下がってしまうのです」
