なぜ灯台だったのか

「観光案内所の窓口に来る人の多くが、灯台について尋ねるんです」どうやって行くのか、何分かかるのか。

佐田岬灯台に関する問い合わせの圧倒的な多さから、河本氏は灯台が最も認知度の高い観光資源だと確信した。

しかし、灯台は駐車場から約2キロ歩いた先にありながら、中には入れず、下から見上げることしかできない。

予算もなく、費用はかけられないが「中に入って、回廊からの絶景を見てもらえたら絶対に喜んでもらえるはずだ」。

そこで河本氏は自身が率先して、灯台への来訪者の安全を確保する保安要員として灯台の下に立つことを決め、松山海上保安部に内部公開の了解を得た。

公開日を土曜日に設定したのも、「日曜ならそのまま帰ってしまう人も、土曜なら一泊していこうか、食事をしていこうか、となるかもしれない」という、滞在時間を延ばし、地域経済に貢献したいという狙いが込められている。