物価高対策「消費税減税」「給付」実現する?

藤森キャスター:
いずれにしても選挙は終わりましたので、とにかく政策を前に進めてほしいですよね。特に物価高対策を実現できる可能性について評価していただきました。

まず、「ガソリン税」は〇がついていて、「現金給付」「消費税減税」は△です。

岩田政治部長:
まずガソリン税は、野党7党が6月に提出した暫定税率廃止法案が衆議院を通過しました。しかし、参議院では野党が少なかったため廃案になってしまった。

ただ、今回の選挙で参議院も野党が多数を占めるようになったので、8月1日に臨時国会召集される見込みですが、その会期を決められるのも野党です。会期をある程度長く取り、野党が協力できればガソリンの税率を下げることが可能な状況にはあります。

藤森キャスター:
ガソリン税はそうなるかもしれませんが、給付も減税も△の評価というのは…

岩田政治部長:
まず現金給付ですが、これは自民・公明が掲げてしました。今回、その自公が敗れたので、すんなりとはいきません。立憲民主党が一部「給付も」と言っていましたが、立憲民主党はあくまで食料品の消費税をゼロにするための給付を訴えていたので、「給付だけやれ」と言っても無理だという話になるので、厳しい状況です。

藤森キャスター:
では、消費税減税は?

岩田政治部長:
有権者は「給付」か「減税」のどちらか、という中で、消費税減税に入れた方が多かったため、今回野党が過半数を取ったわけです。有権者からすると「だったら消費税減税してもらわないと」となるのですが、各党によって言っていることが違います。「食料品だけ」「一律5%」「0%」など、それぞれ主張が違う中で、野党が話し合って1つの案を作れるなら消費税減税はできるかもしれません。しかし、まとまらなかった場合は、どれも実現しないことになりかねない難しい状況です。

藤森キャスター:
誰がリーダーになるかですよね。

真山仁さん:
あとは財源の問題もありますよね。みんなで話し合うムードがなく、自分たちだけが与党にすり寄って得したいと思っているような気配もあるじゃないですか。結局、国民そっちのけで誰がハンドルを握れるかということを争っているのであれば選挙前と変わらない、最悪の事態になりかねない。

小川キャスター:
誰かがハンドルを握らないとまとまらない中で、どなたかがリーダーシップを取れるのでしょうか。

岩田政治部長:
1つは野党第一党である立憲民主党の野田代表です。野田代表がリーダーシップを持って、みんなでまとまっていこうということができるのかどうか。

その布石になり得るのが、ガソリン税です。ガソリンの暫定税率を野党みんなで協力して衆議院も参議院も通し、「野党で協力すればできる」という実績を作って、消費税減税などの難しい問題もやっていこうというムードに繋げていけるのかどうかなのですが、実際はバラバラで難しい。

藤森キャスター:
特に今回の選挙で勢いづいたのは国民民主党や参政党です。立憲民主党がリーダーシップを取れるかどうか。

岩田政治部長:
参議院選挙の結果だけを見たら、どちらかといえば国民民主党の方が躍進をしていますが、玉木代表が他の野党に対して「今回躍進したからうちが引っ張っていくよ」と言えるかどうか。数の面では衆議院でも立憲民主党が大きいので、その中で国民がどれだけ存在感を示せるかというと、まだわからない。

小川キャスター:
でも、ここで漂流してしまうと有権者としては何のための選挙だったのかということになりますね。

真山仁さん:
躍進したのは事実ですが、結果的に立憲民主党が一番議席を獲得しています。総理経験者である野田代表がリーダーシップを取るしかないのですが、なぜか立憲民主党はすごく弱腰。当選者が少ない政党が元気なのは、与党と組めたら結果的に次の選挙でもっと勝てるかもしれないという思惑がある。結局、国民はどこにいっているのかということが逆に強くなってしまって、ないがしろにされるなら何もしない方がいいのではないかというのは最悪の状況ですが、何となくそんな気配はないですか。

小川キャスター:
総理も「政治を漂流させない」とおっしゃっていましたが、これだとかえって漂流を生むということになりかねないですよね。

岩田政治部長:
最大の争点だったはずのテーマがどちらもできなくなってしまったら、政治自体に対して「なんなの」と有権者は思ってしまいますよね。

真山仁さん:
投票する人がどんどん減っていきます。「参議院はいらない」という人も出てくるかもしれない。だから与党と野党の第一党はもっと毅然として、自分たちが先頭に立って政策を交渉する場に行って欲しいです。

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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当

真山仁さん
小説家 「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「ロスト7」