医薬品製造をめぐる不正で経営難に陥ったジェネリック医薬品大手、日医工について、地域経済に詳しい専門家は経営再建へ向けた具体的な計画について評価する一方、すべての債権者の理解を得られるかどうかは不透明だと指摘しています。
帝国データーバンク富山支店 西浦康 支店長:
「これからの道筋がはっきりしたこと。これは非常によかったのではないのかなと見ています。また新しい日医工さんへ向けた動きがここから出てくるという意味でもよかったのではないかなと」
企業再生に強みを持つ国内投資ファンド、JWP(ジェイ・ウィル・パートナーズ)と、全国の病院や薬局に幅広く取引先を抱える医薬品卸大手メディパルホールディングスの支援を受け、経営再建を目指すことが決まった日医工。再建計画ではJWP傘下の合同会社が200億円の第三者割当増資を引き受け株式の9割を取得し、将来、日医工を完全子会社化します。
一方、第三者割当で調達する200億円のうち85億円は運転資金に、113億円は不正があった主力の富山第一工場の設備投資にあて、品質管理体制を強化しながら生産効率を高め経営を再建を目指します。
これに伴い日医工は、来年3月から4月をめどに上場を廃止し、田村友一社長は増資後の2023年3月をめどに引責辞任します。
日医工は去年、国の承認手順と異なる方法で医薬品を製造したとして、県から業務停止命令を受け、ことし5月に私的整理の一つ事業再生ADRを申請。
14日発表した2023年3月期の中間決算では、548億円の最終赤字を計上し、負債が資産を上回る債務超過は356億円に上りました。
手続きを進めている事業再生ADRの成立には、メインバンクの三井住友銀行や有力取引先の北陸銀行など、債権者のすべての金融機関の合意が必要で、日医工は16日、第2回の債権者会議を開き、再建計画について説明すると見られます。
再建への見通しについて専門家は…。
帝国データーバンク富山支店 西浦康 支店長:
「ADRにつきましては、これまでの事例から言っても、100パーセントうまくいくというものでもないです。民事再生に移行した事例がありますので、やはり、まだどうなるかわからないところではある」
一方、株式の動きについて証券会社は…。
島大証券 佐伯幸雄 部長代理(電話取材):
「株式を売るのか、そのまま保持するのか、ということで、皆さんに電話をおかけするというので地元の証券会社が大変なことになっていますね」
上場廃止を受け1株36円での強制買取りが発表された日医工の株価は、15日80円値を下げ300円となりました。
島大証券 佐伯幸雄 部長代理(電話取材):
「市場の売買で36円の価格よりも下回るんじゃないかという予想なんですね。下回れば買う人も出てくるのではないかと。30円で買って36円で売ると6円の儲けになりますよね。こういうのが好きな方が世の中におられるので、その方々がちょっと動くんじゃないかなということで
」
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