今年の感染拡大は“異例”? 医師は妊婦のワクチン接種も推奨

15日、都内のクリニックでは、8歳の男の子が診察に来ていました。

8歳の男の子(患者)
「金曜日、のどが痛かった」

医師
「金曜日、のどが痛かった?咳は?」

8歳の男の子(患者)
「いっぱいしてる」

医師
「咳で眠れないようなときもある?」

保護者
「たびたび起きています」

診察中も苦しそうに咳き込んでおり、百日せきを疑い検査してみると…

医師
「陽性が出ました」

8歳の男の子(患者)
「“ようせい”って何?」

保護者
「百日せきです」

クリニックではいま、百日せきの検査で陽性となる患者が急増しているといいます。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長
「6月下旬から7月になってから、特にやっぱり暑くなってから感染者数が爆発的に増えてきて、1日3名から4名ほど百日せきの患者さんが来るようになり、異例の年になっているなという風に思っています」

この時期に感染が広がっている理由の一つにあるのが…

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長
「やっぱり異例の暑さ。暑さによって我々の免疫力も落ちている。もう一つは暑さ対策で、エアコンを中心として空調を整えると、換気が不良になっている可能性があります」

ワクチンの抗体価が落ち始める10歳前後の患者が特に多いということですが、乳児が感染すると重症化する恐れもあります。

群馬県では2025年、生後2か月の乳児が百日せきにかかり亡くなりました。

群馬県立小児医療センター感染症科 清水彰彦 医師
「ワクチンをまだ打っていないお子さん(乳児)が感染してこちらに来られたけれども、呼吸状態が悪くなっちゃって、最終的には救命できなかった」

猛威を振るう百日せき。清水医師が指摘するのは、従来使っていた薬が効かない「耐性菌」の存在です。

群馬県立小児医療センター感染症科 清水彰彦 医師
「治療していたはずの人が治療できていなくて、その百日せきの菌をずっとバラマキ続けるわけなので、耐性菌の問題は今回の流行に大きな要因」

手洗いやマスクなどの基本的な感染対策の徹底が大切としたうえで、清水医師は、乳幼児だけではなく妊婦のワクチン接種も重要だと話します。

群馬県立小児医療センター感染症科 清水彰彦 医師
「妊婦さんが百日せきのワクチンを打つと、赤ちゃんに百日せきの抗体が移行する。出産前に打つことを強くおすすめする」