「宿泊税」使い道と税額見直し検討、宿泊事業者からは疑問の声も

稲佐山観光ホテル・小林央幸専務「まずもって宿泊税がどういった事業に使われているかというのが明確に把握できてないので、はっきり言ってよく分からないというのが正直なところ」

長崎市、稲佐山観光ホテルの小林央幸専務は宿泊税の使い道について、民間業者の声をより積極的に取り入れるべきだと考えています。

稲佐山観光ホテル・小林央幸専務「宿泊客を増やすための施策に使っていくものだと思うので、できれば民間業者も合わせて、どういった使い道が今後、観光消費額の拡大などに役立つかというのを一緒に議論して使い道を決めていくような場があると、よりいいのかなと思います」

また、長崎市が宿泊税額の見直しに向けた検討を始めたことについては。

稲佐山観光ホテル・小林央幸専務「うちはそこまで無かったですけど、実際に宿泊税があることによってクレームがあったっていう施設もある」「まず現状の体制とか使い方を一回精査して、枠組みを一回構築してから、そのあと議論すべきじゃないかなと個人的には感じています」

【豊】長崎市と観光業者がもっとコミュニケーションを図ることが宿泊税見直しの議論には欠かせないのではないかと感じます。

長崎市の「宿泊税」運用、これから必要な視点は

【豊】平家さんは長崎市の宿泊税について、改善の余地をあると思われる点はありますか?

【平】長崎市は今年度「受入環境整備」の中で、多言語案内板の整備や路面電車のタッチ決済導入支援、公衆トイレの改修といったハード面の整備も掲げていますが、他の観光都市と比べるとまだ遅れている状況です。

また、クルーズ船入港時の混雑対策として一部の電停への警備員の配置にも宿泊税が使われていますが、そもそも警備員を配置しなくて済むようなハード面の整備に予算を投じるべきではないかと思います。ここは観光部署とハード整備部署の連携を期待したいところです。

【豊】他の都市で参考になる事例はありますか?

【平】例えば北海道の倶知安町やニセコ町は地域内の循環バス運行や空港連絡バス運行といった「交通対策」に多くの予算を充てています。一方、福岡市は博物館リニューアルや海辺の観光振興に向けた道づくりなど「ハード面の充当」が目立ちます。

【豊】長崎市も、他都市の事例から学ぶべき点があるということですね。

【平】宿泊税は他都市の成功事例を参考にしながら長崎に不足している観光インフラ、つまりハードとソフトの両面に重点的に充てるべきだと思います。例えば観光案内所の拡充や街全体の多言語化、キャッシュレス化といった環境整備から始めるのが良いと思います。

また、京都市が文化財保全に、北九州市が空港の新規路線誘致に活用しているように長崎市も観光客誘致に直結する分野への投資も検討すべきではないでしょうか。

ハードやソフトが充実すれば、情報発信もより大きな効果を発揮すると思います。

【豊】宿泊税の使い道については、市民や観光客にとって「見える化」することも重要と言えそうですね。

【平】そうですね。宿泊税が単に消費されるだけでなく、長崎の主力産業の一つである観光が持続的に稼ぐためのツールとして活用されていること具体的な情報開示や数値化された実績で明確に示すことが求められます。

宿泊税の使い道とその効果が多くの市民や観光客から見て分かりやすい情報開示と効果検証が行われることに期待したいと思います。