現在、天皇皇后両陛下が国賓としてモンゴルを訪問されています。なぜ今、モンゴルなのか。日本とのさまざまな繋がりが見えてきました。
両陛下はなぜモンゴルを訪問したのか?
井上貴博キャスター:
在位している天皇陛下がモンゴルを訪れるのは初めてです。

訪問は7月6日から8日間の日程です。
▼大統領夫妻主催の晩さん会に参加
▼チンギス・ハーン国立博物館の視察
▼モンゴル日本病院訪問
など
訪問の一つの理由として、「国際親善」がありますが、もうひとつ理由があるといわれています。
TBS報道局社会部 宮内庁担当 岩永優樹 記者:
国際親善に加えて、もうひとつの理由として「日本人の慰霊」があります。

井上キャスター:
大戦後、旧ソ連によって抑留され、モンゴルに移送された日本人兵士などは約1万4000人いました。-50℃の過酷な寒さや、強制労働、粗末な食事により約1700人が亡くなったといわれています。
TBS報道局社会部 宮内庁担当 岩永優樹 記者:
強制労働では、建築の資材である石を遠くまで取りに行ったり、食事は十分な栄養が取れなかったりしたので、森に動物を狩りにいったという話も取材で明らかになりました。
井上キャスター:
シベリア抑留はよく語られますが、モンゴル抑留は約1万4000人のうち約1700人が亡くなっており、シベリアの抑留以上に死亡率が高かったと言われています。

そして、市内にはモンゴル国立大学や国立中央図書館など立派な建物がありますが、1945〜47年にかけて、政府庁舎、国立オペラ劇場、映画館などの建築に日本人抑留者の多くが関わっていたといいます。

TBS報道局社会部 宮内庁担当 岩永優樹 記者:
なぜ2025年にモンゴルを訪問したのかというところにも繋がってくる話ですが、2025年は戦後80年ということで、両陛下も4月には硫黄島、6月には沖縄、広島と各地を回って心を寄せられています。
モンゴルは日本人が苦難の歴史を歩んできた場所なので、訪問目的の一つに、「苦難の歴史を歩んだ場所で思いを寄せたい」というのも政府の判断としてあったのかもしれません。
そして、陛下の思いとしても、2025年2月の記者会見で「戦後80年という節目」というワードを出し、「この節目に、私も各地で苦難の歴史を歩んだ方に心を寄せたい」とおっしゃっていたので、当然それも判断の一つに入ってきたのかもしれません。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
シベリア抑留に比べると、モンゴル抑留はあまり注目されてきませんでしたが、実際、陛下が行かれるとマスコミもついていって報道されるので、日本国内の関心も高まるという効果があります。そういう意味では、皇室外交というのは、日本外交全体を補完する役割として非常に大きいと思います。
普段あまり注目されないところに光を当てるという点では、非常に意義深いと思います。
出水麻衣キャスター:
今回、雅子さまがご同行されてるということも、微笑ましいですよね。