1991年に設立されたサッカーチーム「奈良クラブ」。現在はアマチュアトップリーグのJFLに所属しています。今回、取材班はこのチームで再び“夢のJリーグの舞台”を目指す元Jリーガーのキャプテンに密着しました。

JFLに所属の奈良クラブ キャプテンは元Jリーガー・小谷祐喜選手

 11月5日、「横浜F・マリノス」が5度目の優勝が決めたJリーグ。その夢舞台を目指すサッカーチームがあります。今年で設立31年を迎える「奈良クラブ」です。アマチュアのトップリーグ「JFL」に所属していて、選手の多くが元Jリーガーです。
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 守備の要でキャプテンの小谷祐喜選手(31)もかつてはJリーガーでした。

 (奈良クラブ 小谷祐喜選手)
 「みんながみんな個性があってすごく良いチームやと思う。声やったりジェスチャーやったりでチームを統率しています」
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 高校時代は全国大会に出場し、日本高校選抜に選ばれるなど輝かしい実績を残した小谷選手。大学卒業後、Jリーグ「セレッソ大阪」に入団しました。その後、Jリーグクラブを転々としながらも、ピッチで身体を張るプレーはどのクラブでも重宝されました。

 しかし、プロ8年目、徐々に出場機会を失い、2年前、29歳で戦力外を言い渡されました。

 (小谷祐喜選手)
 「ゼロ円提示(戦力外通告)を受けたときは本当に泣きましたね。家族の前で泣いたのは初めてかな」
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 小谷選手は5年前に学生時代から付き合っていた真里さんと結婚。いまは2人の子ども(長男・唯斗くん 次男・奏斗ちゃん)がいます。「家族のためにも新たな道を探そう」と考えていたといいますが、真里さんは…。

 (妻・真里さん)
 「本人はただただサッカーをしたいんだろうなと。でも、きっと私たちのことを思ってサッカー選手をやめて普通の仕事をしようと考えているんじゃないかなっていうのが、何も言葉では言わないけどそう伝わってきたというか。本当に体が限界でやり切ったと思うまでやってもらえたら良いなと思いました」
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 こうした中で届いた奈良クラブからのオファー。チームと一緒にJリーグへ這い上がる。その決意と共に今年8月、次男の奏斗ちゃんが生まれて新たな夢もできました。

 (小谷祐喜選手)
 「一緒に入場とかもしたいんですよ、選手入場。それがJリーグのピッチやったら最高やなぁと思いながら。まだまだやめられへんなぁと思っています」
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 ただ、Jリーガーだった頃と比べて収入は4割減。いまはサッカースクールのコーチもしながら生計を立てています。

 【サッカースクールでのやりとり】
 (小谷選手)「みんな、大人になったら何になりたいん?」 
   (生徒)「サッカー選手!」
 (小谷選手)「Jリーガーになりたいやんな?コーチもJリーガーになりたいねん。奈良クラブが上がったらコーチもJリーガーになれるから、みんなと夢は一緒。だからみんなと一緒にコーチも頑張ろうと思います」