新たな教皇の誕生…性虐待への対応は

被害を受けてから約10年が経ち、田中さんにも変化が訪れます。胸の奥に押し込めてきた思いを、長女に打ち明けました。

田中さん
「1人で抱えていると、夜中に悪夢を見て、眠れない日を何年も続けてきた。自分のために喋らざるを得ない。一番つらいことだった」

長女は、その言葉を静かに受け止めました。

田中さんの長女
「夜に家で1人で泣いているところに遭遇したりだとか。私を思うあまりに隠していたというのは、すごく強く感じて」

その一歩が、長く閉ざされていた心を少しづつ開いていきました。

田中さん
「つらいことも、嬉しいことも、わかちあえばいいんだというふうに娘から学んだ。孤独だったら気づけなかった」

そして、2023年に一つの決断を下しました。

神父が所属していた修道会などを相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こしたのです。

田中さん
「声も出せないような、苦しみの中にいる人がいっぱいいる。そういう人たちも一緒に立ち上がることができるように頑張りたい」

これまでの裁判で、修道会側は田中さんの訴えに対し、争う姿勢を示しています。
一方、JNNの取材には「係争中の事案のため、回答は控える」としています。

田中さんは自分の思いを伝えようと、ローマ教皇庁にも手紙を送りました。

新たな教会のトップは、この根深い問題にどう向き合うのか。その声が届く日を祈るような思いで待ち続けています。

田中さん
「最後に残るのは自分の生き方、信仰だけ。新しい教皇も、きっと私の訴えを聞き取ってくれると。どうしても信徒ですから信じたい」