あっという間に梅雨が過ぎ、もう夏本番。夏といえばセミが鳴き、カブトムシやクワガタも活発に動き回る、そんなイメージが強いかもしれません。でも、真夏には意外と身の回りで見かける虫の数は初夏や秋よりも少ないと感じませんか?
乾燥し、暑すぎる夏は生き物たちにとっては過酷で、「夏眠」と呼ばれる休眠状態に入ることがあるためかもしれません。
虫に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに聞きました。
「夏眠」とは?
ー「夏眠」とはどういう状態なのでしょうか。
(東洋産業 大野竜徳さん)
「夏眠、耳慣れない言葉かもしれませんが、生き物が寒い冬に活動を止める冬眠と同じように、過酷な環境を乗り切るための生存戦略のひとつです」
「冬眠が寒さから身を守るためのものなのに対し、夏眠は暑さや乾燥を避けるために行われます」
「日本で見られる夏眠をする生物の代表例としては、ヒキガエルが挙げられます。ヒキガエルは梅雨が明けて気温が高くなると、土の中や石の下など涼しく湿った場所に潜ってじっと動かなくなり、秋になるまでほとんど姿を現しません」
「ミミズやナメクジ、カタツムリの仲間も夏の乾燥が厳しい時期には地中深くに潜り、ほとんど活動を止めることが知られています」
「虫でも夏眠するものはよく知られており、例えばカメムシやナナホシテントウ、バッタ類、ヤマトシジミなどのチョウの仲間などがいます」
「秋から冬にかけて家に入ってきたりするクサギカメムシは、梅雨明けの強い日差しと高温が続くと、繁殖活動を一時停止して葉陰や樹皮の裏に隠れ、秋の涼しさが戻ると再び活動を始めます」
「春によく見られたナナホシテントウなども暑さや乾燥が厳しい真夏には活動を抑え、葉の裏や石の下などでじっとしていることがあります」
「テントウムシの餌はアブラムシ。真夏はアブラムシの数が減る時期ですので、おなかいっぱい食べられない時期に無駄に動かないようにするためとも考えられています」