日本は譲歩する必要があるか、安易に妥協せずに持ちこたえるか?

藤森祥平キャスター:
今回のトランプ大統領の発言は「日本には30%か35%か、我々が決める関税を払ってもらう」という内容でした。

明海大学の小谷哲男教授は、このトランプ大統領の厳しい態度には、強い不満が表れているとみています。アメリカは同盟国の日本を守るために莫大な防衛費を払ってきたにもかかわらず、巨額の貿易赤字があることは不公平だ、という考えがあるようです。
トランプ大統領は3月には「防衛費を払わないならNATO加盟国を守らない」とも発言しており、「アメリカ側は日本側に防衛費をGDP(国内総生産)の3.5%に増額するよう要求した」という報道(6月20日、フィナンシャル・タイムズ紙)もあります。

小谷教授によると、トランプ大統領は“関税で譲歩しなければ日本が攻撃されても守らない”と考えている可能性もあるということで、日米の安全保障に悪影響を与えかねず、日本は譲歩する必要があるのではないかと指摘しています。
小川彩佳キャスター:
3日からは参議院選挙の期間に入りますが、トランプ氏との向き合いも大きな課題になってきます。国のリーダーにはどのようなことを求めますか?

地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
やはりトランプ大統領は一貫しないので、たとえば日本が譲歩したからといって本当に防衛するかどうかなど、これまた保証はありません。
過去の危機というのがコロナ禍だったことを、皆さん覚えているでしょうか。コロナの年に世界中の経済が止まったことで日本の輸出は大きく減り、ざっくりトランプ関税の影響がフルに出るよりも大きな打撃を受けましたが、日本の産業は大丈夫でした。
いっとき、こういう関税があることも踏まえたうえで、日本にはその程度の打撃には耐えられる力もあるので、安易に妥協せずに持ちこたえるという戦略のほうがいいのではないかと僕は思います。

トラウデン直美さん:
いつものトランプ大統領らしいやり方というか、どこまで踏み込んでいけるのか測っているような感じもあります。ただ、ときには言ったとおり実行することもありますよね。
そのときにどう対応できるかだとは思いますが、日本の位置というのはアメリカの防衛上も重要な位置だと思うので、急にいなくなることは当然ないと思います。
長期的にトランプ大統領との関係をしっかり構築して、ある程度御していける方が日本政府にいたらいいなというところです。
地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
なかなか言うことを聞くだけで御するのは無理だと思います。面倒くさい人というのは、譲ると逆に、さらにかかってきます。逆に突っぱねているからといっても、仲間になる人と喧嘩する人に分かれます。
ただ、関税をかけるということはアメリカのインフレの危険がどんどん大きくなるので、アメリカも何年も続けていると国内がガタガタになります。実はお互いに、まさにチキンゲームで、どちらがチキンアウトするのかというところがあると思います。
藤森キャスター:
選挙期間中に、トランプ大統領との向き合い方について各党の声をしっかり聞いてみたいですね。
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<プロフィール>
藻谷浩介さん
地域エコノミスト 少子化問題に詳しい
(株)日本総研主席研究員
トラウデン直美さん:
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行