「血圧や呼吸を測らないとアドレナリンは打てない」
長年連れ添った妻を、思いもよらない形で失った夫。このときの現場の対応に強い疑問を抱いています。
(妻を亡くした男性)
「派遣されて来ていた看護師は『アナフィラキシーに対応したことがない』と言っていた。処置した医師も『アナフィラキシーに対応したことがない』と言っていた」

妻は、ワクチン接種で起きることのある急激なアレルギー反応、「アナフィラキシー」を起こした可能性がありますが、その場に待機していた医師や看護師は、アナフィラキシーへの対応をしませんでした。
なぜ、その対応をしてくれなかったのか。夫の英治さんと現場にいた内科医師とのやり取りがボイスレコーダーに残されています。
(夫)
「アナフィラキシーの症状には当てはまらないんですか?先生の見立てでは、それは違うという判断だったんですか」
(内科医師)
「その時に血痰が出ていたので、何らかの肺胞出血、肺からの出血があったと」
(夫)
「でも、コロナのワクチンを打ったら、一番に疑うのはアナフィラキシー?疑いがあるから準備していたはずなのに、なぜすぐ使おうとしなかった?」
(内科医師)
「それに関してはあの…」
このときパルスオキシメーターの計測で、妻の血中酸素の濃度はわずか54パーセント。本来95以上は必要なため、まさしく緊急事態でした。
「アナフィラキシーという判断は一切なかった?」
(内科医)
「アナフィラキシー、その…」
医師が言いよどむと、別の声が。地元医師会会長です。
(地元医師会会長)
「一般的には血圧がどうなっているかとか、呼吸状態がどうなのかが必須だと思う。アナフィラキシーを判断する上でも必須で、それなしでエピペン(アドレナリン)を打つことはないと思う」
地元医師会の会長は、血圧や呼吸を測らないとアドレナリンは打てないと説明しました。
しかし、日本救急医学会が出しているガイドラインには、ワクチン接種で急激な体調悪化があった際は「迷わず」筋肉注射でもかまわないので、アドレナリンを投与すべきとしています。