仙台市内の火力発電所で希少猛禽類「ハヤブサ」のひな3羽が誕生し6月、巣立ちを迎えました。

このハヤブサが生まれたのはなんと発電所の煙突の上でした。

2025年4月仙台市宮城野区、夜景を望む巣の中で卵を温めているのは猛禽類のハヤブサです。

約1か月後、卵から孵化した3羽のひなが、親鳥から餌をもらおうと一生懸命にくちばしを伸ばしています。

雛が生まれたのは仙台港にある新仙台火力発電所です。

LNG=液化天然ガスを燃料とする発電所で、巣は3号系列の煙突の高さ76メートルの場所にあります。

東北電力によりますと、ハヤブサはもともと発電所の1号機と2号機の煙突に営巣して自然繁殖していました。

しかし、いずれも廃止されたため、2015年から現在の場所に人工的な巣を設置し、ハヤブサが繁殖できるような環境を整えました。

これまで6年連続で繁殖を見届けているということです。

環境省のレッドリスト絶滅危惧II類に指定されているハヤブサは、専門家によりますと海沿いの崖に巣を作ることが多く、人工物で繁殖し巣立ちまで迎えることは珍しいといいます。

猛禽類医学研究所 渡辺有希子副代表
「そこが安全な繁殖場だとハヤブサたちが認識しているからこそだと思うので、見守りの態勢を整えたことはすごいこと」

また、近年はハヤブサが生息している自然環境が減少し、人の生活圏に巣を作る個体が増えてきているとして、都市開発と環境保全を両立させることが重要になると指摘します。

猛禽類医学研究所 渡辺有希子副代表
「ハヤブサが住める環境=私たちの社会にも貢献があるはず。地域のみんなでひなの成育を見守っていくような態勢ができると嬉しい」

東北電力が6月12日に確認したところ、誕生した3匹のひなはいずれも無事に巣立っていったということです。

新仙台火力発電所の担当者は「無事に巣立ちほっとしている」とコメントしています。

専門家によるとハヤブサは今後、親鳥から飛び方や狩りの仕方を教わる時期に入るということです。