目標は『健常者に勝つこと』と『インターハイ出場』
「勝つ。絶対勝つ」陸上にのめり込んでいく息子の姿を間近で見ていた父

正名さんは、中学年代に野球部がなく、仕方なく陸上をはじめた佐々木選手が、自分のバトンミスで大会に敗れた悔しさや、速い先輩を追うように競技にのめり込んでいく様子を間近で見ていました。

佐々木選手の父 正名さん
「健常者に勝つということと、インターハイに出るということ。(スタートを知らせる)スタートランプもない時代に、そういう高い目標になってしまっていた。(スタートの違いで)100mで0.1秒遅れたら全然違う。勝てないのさ。それでも『勝つ。絶対勝つ』って」

負けても、負けても…、ただ速く走りたい―。
高校年代最後の年に『11秒60』だった自己ベストは、現在も所属する仙台大に進学して成長を重ね、30歳になる2023年には『10秒59』をマーク。

世界の頂点となっても向上心が尽きることはありません。そこにはデフ陸上の“第一人者としての自覚”があります。