乾いたタオルで汗を拭くのが逆効果なワケは?

井上キャスター:
続いて、これからご紹介する熱中症対策が正しいのか考えていきましょう。

まずは▼「汗をかいたので、乾いたタオルでしっかり拭く」。これについてはどう思いますか?

出水キャスター:
いいのではないでしょうか。

山形純菜キャスター:
いや、乾いたタオルではなく、濡れたタオルで拭くほうがいいのではないでしょうか。

ハロルド・ジョージ・メイさん:
確かに、汗が出る理由は体温を下げるためです。汗を拭き取ったら意味がないので、いわれてみれば濡れたタオルのほうがいいですよね。

井上キャスター:
おっしゃるとおりです。山口教授によると、汗の役割は蒸発することで体温を下げてくれるというものなので、拭きすぎはNGです。体の熱が外に逃げられなくなってしまいます。汗を拭くときは、濡れたタオルにしてください。

続いて▼「エアコンで室温を28度以下にし、寝るときはつけっぱなし」。これはやりがちだと思いますが、調べを進めてみると落とし穴がありました。

エアコンを使うときは室温だけではなく、湿度も確認する必要があります。湿度は60%以下にしてください。

ダイキンのHPによると、たとえば温度が同じ28度でも、湿度が85%と60%で違えば、体感温度は4度変わるそうです。湿度60%のときのほうが涼しく感じます。

なお、温度計を設置するのは大変有効ですが、一緒に湿度が表記されているものだとなおよいです。しかし、窓際に設置すると温度が高く出がちで、クーラーの風が行くところに設置すると温度が低く出がちなので、自分の生活圏内に近いところに設置しましょう。

また、▼夏は水分補給で冷たいドリンクを飲みがちですが、山口教授によれば、冷たすぎると内臓に負担が出るということです。

もちろん、一時的に体温を下げる効果はありますが、冷たすぎると胃腸の吸収が鈍くなる可能性もあり、脱水状態を解消しにくいといいます。水分補給のためには常温か、少し冷たいぐらいの飲み物がいいそうです。

そして▼外は炎天下なので、よく「外出を控えてください」と呼びかけられます。しかし、涼しい部屋でずっと過ごすのはどうなのでしょうか?

出水キャスター:
体の調節機能が鈍ってしまうのでしょうか。

井上キャスター:
基本は涼しい部屋で過ごしていただきたいのですが、冷房がきいた部屋は喉の渇きを感じにくくなります。“隠れ脱水症状”のリスクがあるため、喉が渇く前からこまめに水分補給してください。

山口教授いわく「涼しい環境に体が慣れると、体温を下げるために必要な発汗機能が低下する。急に外に出た時、うまく汗がかけず熱中症になるおそれがある」とのことです。