■相手の“性”への理解とは
ガルシア議員に法規制に動いた理由を尋ねたら、こんな答えが返ってきた。「インターネットのコミュニティで、男性たちがどうすれば『ステルシング』が成功するかなどを書き込んでいるのを見ました。怒りがこみ上げてきましたし、本当にうんざりしました」
ガルシア議員は刑事罰を伴う法改正も検討している。また高校などの教育現場でこの問題について積極的に議論するよう働きかけもしているという。加害者になりうる側の意識変化が重要だからだ。アメリカのほかの州でも、同様の法規制に向けた動きが起きている。
カリフォルニア州では2021年10月、全米初の「公立学校での生理用品の無料配布」も決まった。これにもガルシア議員は主導的に関わっている。彼女はこの制度の意義について「生理が社会の一員としての女性の生産性を妨げないものになる」としている。裏返せば、そこには女性が不便さを強いられてきたという理不尽さに対する、彼女の思いもうかがえる。こうした制度実現の動きと「ステルシング」の法規制には、相通ずるものがあるだろう。“性”をめぐる不都合や不安、苦痛を抱える人がいることに社会として目を向けようという姿勢とも言える。相手の“性”への理解を深めようとする一歩が今、着実に踏み出されている。
JNNロサンゼルス支局 尾関淳哉

















