会員が運営を手伝う「ついでワーク」の誕生

野村
200億円とは、かなりの投資をしましたね。

comugi
その品質向上策の一環として登場したのが、今回のテーマである「ついでワーク」です。「ついでワーク」は私が勝手に呼んでいる名称ですが、チョコザップは、会員が運動する「ついで」に店舗の清掃や備品の補充を手伝うと、月額料金が割引になるサポート会員の認定制度を始めました。

野村
メンテナンスをスタッフが行うのではなく、会員にやってもらおうということですね。

comugi
この会員には2種類あります。ひとつは「フレンドリー会員」で、清掃や備品補充といった簡単な作業を行うものです。週2回、月8回以上のメンテナンスで、月会費が2,000円も割引になります。

野村
普通にジムに通う人なら、トレーニング後のクールダウンの時間を使えばできそうですね。

comugi
まさにその通りで、ある事例では45分トレーニングして、残りの15分を清掃に充てて割引をもらう、というスタイルだそうです。こうしたフレンドリー会員は、3万人以上もいるんですよ。

野村
133万人の会員のうち、3万人が参加しているとはすごいですね。もう1つの種別は何ですか。

comugi
もうひとつは「セルフメンテナンス会員」です。こちらはマシンに関する知識を持つ人向けで、不具合の対応などを行います。報酬は割引ではなく、1回の作業ごとにAmazonギフト券がもらえ、スキルレベルに応じて500円から2,000円と金額が変わります。こちらには6,000人が登録しているそうです。
ちなみに、フレンドリー会員などによる不正を防ぐための対策も考えられています。例えば、滞在時間が極端に短い場合はシステムが検知したり、清掃完了時に写真での報告を義務付けたりと、DXを活用したチェック機能が導入されています。

野村
なるほど。報酬が発生する以上、善意に任せるだけでなく、自動的にチェックする仕組みがあるわけですね。

comugi
報酬に近いものが発生する以上、そうした機能は必要不可欠ということです。
チョコザップはサポート会員制度以外にも面白い取り組みをしていて、2024年12月にリリースされた「お店の状況分かるナビ」という機能では、ウェブサイト上で各店舗のマシンの故障率をリアルタイムで可視化しています。これは会員以外でも見ることができ、近所の店舗の状態が分かるようになっています。

野村
なるほど。ユーザーに対する利便性の向上だけでなく、「ここまで開示しても問題ないレベルに改善した」という覚悟を示したわけですね。