国有地の大幅値引きと、公文書の改ざんが判明した森友問題。先週、その内部文書が新たに開示されました。改ざんの裏側で何が起こっていたのか。9000ページに及ぶ文書からは関係者たちが嘘を重ねて行き詰まっていった様子も浮かび上がりました。

森友文書9000ページ 新たに開示、メールが示す廃棄と改ざん

今回、開示された文書の中には、財務省から赤木俊夫さんなど近畿財務局にあてたメールが多く存在する。国会で森友問題の追及が始まった2017年2月。対応についての記載が見られる。

2月14日、俊夫さんと当時上司だった統括官に、佐川宣寿理財局長(当時)からの指示が伝えられた。

財務省から近畿財務局へのメール
「佐川局長からの指示:宮本議員から埋設物発見の日付を聞かれており、質問されるような気がします」

そして、2月17日。

安倍晋三総理(当時)衆院・予算委 2017年2月17日
「私や妻が関与していたということになれば、これはもう総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきりと申し上げておきたい」

5日後、財務省からのメールに「廃棄」という言葉が登場する。

財務省から近畿財務局へのメール
「件名:宮本岳志君への対応」
「交渉記録は廃棄済みという線で応接をしました」「とりまとめ等対応をお願いします」

2月24日、宮本議員が質問、佐川氏が答弁した。

日本共産党 宮本岳志衆院議員(当時)
「(森友学園との)交渉記録、あるいは面会記録、これは全て残っておりますね」

財務省 佐川宣寿理財局長(当時)
「近畿財務局と森友学園の交渉記録というのはございませんでした」

日本共産党 宮本岳志衆院議員(当時)
「いつ廃棄したのですか?」

財務省 佐川宣寿理財局長(当時)
「平成28年6月の売買契約締結をもちましてすでに事案終了してございますので、記録が残っていないということでございます」

日本共産党 宮本岳志衆院議員(当時)
「そんなのは国民は全く納得できないですよ。そういうことですか」

財務省 佐川宣寿理財局長(当時)
「今、申し上げましたように、売買契約締結をもって事案終了しているということなので、当日その日かどうかは別にしても、速やかに事案終了で廃棄をしているということだと思いますので、記録は残ってございません」

2月26日、日曜日、午後3時のメール。この日から文書の改ざんが始まったことがわかる。

財務省から近畿財務局へのメール
「本省内で保有している森友学園関係の書類、行政文書について」
「今後開示請求があった際のことを踏まえると、現時点で削除した方が良いと思われる箇所があります」

さらに、財務省は削除する部分を指定。その中には、森友学園の籠池泰典理事長が近畿財務局に安倍昭恵氏との写真を示し、昭恵氏から『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいたという記述が含まれていた。

このメールとほぼ同じ時刻、俊夫さんは雅子さんと出かけていた。そこに統括官から手伝って欲しいと連絡が入り、休日出勤した。

この日だけで財務省とのメールのやり取りは10件を超え、俊夫さんは改ざん作業をさせられた。

俊夫さんから財務省へのメール
「ご指示に従い、内容を確認して、大幅にカットさせていただきました」

そして、このあとも、メールのタイトルから国会対応に追われていることがうかがえる。

佐川氏は、国会では変わらず、「記録はない」との答弁を続けた。

佐川宣寿理財局長(当時)衆院・財務金融委員会 2017年3月15日
「面会記録は残ってございません」

開示文書の中には国会の議事録も含まれていて、佐川氏が「記録が残っていない」と答えた部分には、誰かが驚きを示すマークを付けていた。

3月20日には、ふたたび佐川氏の指示が伝えられている。

財務省から近畿財務局へのメール
「局長からの指示により、調書につきましては、現在までの国会答弁を踏まえた上で作成するよう直接指示がありました」

俊夫さんは当初から改ざんに抵抗していた。俊夫さんが亡くなった後、弔問に訪れた統括官の話を録音した音声には…

近畿財務局・統括官(当時)
「改ざんというか、そこの部分が一番、赤木さんのところにかかわるところなんですけど、はじめから赤木さんは(改ざんに)抵抗していました。ずっとどんどんエスカレートする中で、それはもう耐えられない、正直、涙を流しながら抵抗していた」