6年前に閉校となった広島県安芸高田市の旧郷野小学校。築90年の木造校舎を再生し、地域の宝として活用しようという取り組みが今、盛り上がってきています。

安芸高田市吉田町にある旧・郷野小学校。この日は、月に2回の開放日で、誰でも無料で、校舎の中を見てまわれます。

NPO法人郷野の郷運営委員会 水藤邦夫理事長
「元々は子ども達が、礼儀作法を習うところだったらしい。ボクらが、来とる頃には、すでになんかそんなことはなくて、寝っ転がって本読んだりとか」

この校舎ができたのは、ちょうど90年前(1935年)。

NPO法人郷野の郷運営委員会 増野一幸理事
「昔の、この木のサッシのままで、当時のままです」

当時の村の年間予算の2倍の資金をかけて建設されたそうです。

NPO法人郷野の郷運営委員会 増野一幸理事
「これ木の板。普通は節・・・あるもんなんですけど、全然節がない木材だけを選んで天井板にしてるんですよ。ちょっと節があっただけで、なんか返品だったらしいです。棟梁さんが厳しい人で、(節があるのはダメだと?)節があるとダメだ、と」

全校児童の数は、多いときで400人を超えていました。恒例だったのは、近くの河原で開催される駅伝大会。子ども達は、がんばったご褒美として、30mのジャンボ巻き寿司を、地域の人達と一緒に作って食べてきました。

全長65mある、板張りの廊下で行われる雑巾がけレースは、全校児童だけでなく、教員や保護者も参加する熱いイベントでした。

児童数減少に伴う隣接校との合併で、閉校してから6年。地域の人達は、閉校が決まった当初から「再生プロジェクト」を立ち上げ、度々イベントを開催するなどして校舎を活用してきました。

そして今年3月、ようやく、安芸高田市から校舎を譲り受けました。今、自分達の力で次の100年に向けてつないでいくことを目指しています。

NPO法人郷野の郷運営委員会 水藤邦夫理事長
「築90年の木造で、これだけきちっとした状態で残ってるところは、多分日本全国探してもそんなにはないんですよ。これを次の世代の人に渡していくのが僕の仕事じゃないんかな、いうような気がしてね。ここってみんなのものなんで、いろんな人が集まって、なんか新しいことが生まれたら、そういう場所になればすごい楽しいんじゃないかな」

トイレの修繕や最低限のインフラ整備をまかなうために先月始めたクラウドファンディングは、無事、最初の目標金額を達成。次の目標を目指して今月末まで募集されています。また、22日(日)は、初めてのイベント「ごうのGO!GO!蚤の市」を開催。「飾り」をテーマに、色んなヴィンテージ品が校内に並ぶということです。