「心に寄り添って話を聞いてくださった」

視察後には、土砂災害で家族を失った被災者や、復興に尽力した地元住民らと懇談されました。

当時77歳の母親を亡くした澤本恭宏さん(54)と、娘の陽奈さん(24)は、両陛下に被災した状況やその後の取り組みについて聞かれたといいます。当時中学1年生だった陽奈さんは、大学で防災について学び、防災士の資格も取得。小学校や高校で、防災、命を守る行動ついて講演をしていることを両陛下に伝えました。すると、皇后さまからは、講演を聞いた子どもたちからどのような感想があったかなどを訪ねられたといいます。

澤本陽奈さん
「自分事として捉える大切さ、『自分は大丈夫』と根拠のない安心感を持っていたが、そんなものはないと、伝えている。子どもたちにそれが伝わって嬉しかったとお伝えしました」

恭宏さんは「包み込むような方。『本当に大変でしたね』と言葉をかけていただいた。両陛下が訪問してくれたことで、避難の重要性を改めて伝える機会になったと感謝を申し上げました」と話しました。

また、当時11歳と2歳の息子を亡くした平野朋美さん(48)は、「温かい目で、心を寄せて話を聞いてくださった」と話します。平野さんは、防災意識を子どもたちに伝える活動を地域住民と続けています。その活動について「『立派な活動』と救われるような言葉をいただいた」と振り返りました。

両陛下は20日午後には、被爆者が暮らす原爆養護ホーム「矢野おりづる園」を訪問し、入所者と交流されます。